映画「アラヤシキの住人たち」
小谷村の山奥「アラヤシキ」で共働生活を送る住人たち。
住人は自分が出来ることを、
自分のペースで、
自分がやりたいように進めていく。
ペースが遅いからといって、
誰かが怒るわけでも
イライラするわけでもない。
全てがのんびりしているのだ。
その様子を捉えるカメラ映像のワンカットワンカットもしかり。
最初はそのゆったりしたリズムに戸惑うが、ふと気付く。
自分の日常生活があくせくし過ぎているのではないかと・・・。
人の持ち味をみんなが認め合い全てを受け入れる。
今の世の中が忘れかけている寛容さが「アラヤシキ」にはある。
淡々と日常が描かれる"静"的な前半とうって変わって、
終盤は次々と展開が起こる"動"的な物語へ・・・。
その中にあって
子ヤギや赤ちゃんの誕生が印象深い。
新しい生命の誕生は希望なのだと改めて感じさせるシーン。
スクリーンから生命の息吹、瑞々しさが溢れる。
信州小谷の山里の四季を通して描かれる
限りない優しさに包まれた人生讃歌のドキュメンタリー映画。
理想郷のようでもあるが、
人が人らしく生を全うする社会とは
こういうことかもしれないと考えさせられた。