■紺綬褒章の受章と郷土との和解

松本市役所で行われた紺綬褒章の伝達式
3月8日、草間さんは松本市役所を訪れ、紺綬褒章の伝達式に臨んだ。
同美術館の開館に際し、草間さんが自作の版画215点を寄贈した功績によるものである。
かつて、草間さんと郷土・松本との関係は必ずしも良好とは言えず、日本の美術界や故郷で正当に評価されない葛藤が続いていた。
しかし、当時の有賀市長らが東京のスタジオを訪問して対話を重ねたことや、美術館への作品収蔵を契機に両者の関係は劇的に変化した。
美術館で組み上がったばかりの作品を鑑賞した草間さんは「作品が天や人々に向かって語りかけている」と感動を口にし、故郷の発展への願いを述べた。
作品の設置は、過去の葛藤を超えた郷土との和解の証となった。
■300歳まで描き続ける 創造への志

過去の葛藤や故郷への思いを語る草間彌生さん
1990年代以降、ニューヨークでの回顧展や1993年のベネチア・ビエンナーレ日本代表としての出品を経て、世界的な「草間ルネサンス」の波が巻き起こった。
草間さんは現代アートのトップランナーとしての地位を確固たるものとし、現在も欧州各地での大規模巡回展など世界を舞台に活躍を続けている。
4月20日に松本市美術館で行われた除幕式では、集まった人々に向けて「幻の華」と名付けられた野外彫刻がお披露目された。
草間さんは「皆様に愛される彫刻になってほしい」と呼びかけた。
精神の苦闘を芸術へと昇華させ続けてきた草間さんは、自身の命や未来を設計する根源として美術を捉え、300歳まで作品を作り続ける意欲を示している。
満開の「幻の華」とともに、その表現は今なお人々の感覚を揺さぶり続けている。

