■故郷を彩る巨大作品の制作

松本市美術館向けのモニュメント模型
近年、草間さんは大規模な野外彫刻の制作を精力的に行っている。
松本市に新設される美術館向けの野外モニュメントも、多数描かれたイメージスケッチから出発した。
チューリップをモチーフにした作品で、建築家の小瀧弘幸さんら専門家と協力しながら制作が進められた。
現場作業が行われた栃木県宇都宮市の鉄工所「大豊建鉄」では、高さ11メートルを超える巨大なチューリップ5基が、22トン余りの鉄を用いて組み上げられた。
現場を訪れた草間さんは自ら骨組みを確認し、鑑賞者の目線に合わせて花の向きを変更するよう指示を出した。
ポップで弾けるような色彩を施し、見る者を驚かせる作品を目指して微調整が行われた。
■日本を飛び出し世界へ挑む

インタビューに応じる草間彌生さん
1929年3月22日に松本市の資産家に生まれた草間さんは、少女時代から圧倒的な存在感を持つ絵画を描いてきた。
1951年の創造美術展に入選した『残夢』をはじめ、『無限の水玉』といった代表的なモチーフを確立し、国内美術界で新鋭として期待を集めた。
しかし、当時の日本美術界の閉塞感や男女差別に限界を感じた草間さんは、更なる飛躍を目指して海外への渡航を決意した。
「自分を投じて一緒に爆発したい」という強い情熱を抱き、1957年11月、28歳の時に単身アメリカ・ニューヨークへと羽ばたいた。
その挑戦の精神は、今なお色あせることなく作品の中に生き続けている。

