
Charcuterie Ruz シェフ 中村真子さん
北アルプスを望む安曇野の静かな別荘地に、日本では数少ない「シャルキュトリー」の専門店があります。店を切り盛りするのは、フランスで国家最優秀職人のもとに弟子入りし、本場の技を徹底的に磨いた女性シェフ・中村真子さんです。華やかな高級料理とは一線を画す、フランスの田舎に息づく保存食の哲学。それを長野県の大地で体現しようとする職人の姿を追いました。
■「フランス料理のイメージと違う」

シャルキュトリー
「シャルキュトリー」とは、豚肉を加工して作るフランスの食文化のことです。パテ、リエット、ソーセージなど、保存を目的に生まれた料理群を指し、日本では専門店そのものが珍しいといいます。
夫の鷹さんも「シャルキュトリーの専門店はなかなかない」と認める通り、テイクアウト専門店「シャルキュトリーリュース」はその希少な存在のひとつです。
真子さんがこの世界にひかれた理由は明快です。「新しい食材より、地元のものとか手に届く食材をいかにおいしく食べ続けられるか、という考え方が魅力かなと思う」。
高級食材を競うのではなく、豚肉と季節の野菜と土地の知恵で最高の味を作り出すー。
そのシンプルさの中にこそ、シャルキュトリーの奥深さがあります。
■21歳で渡仏、MOF職人に師事

Charcuterie Ruz 長野県安曇野市
高校卒業後、ホテルで調理師として働き始めた真子さんは、21歳で単身フランスへ渡り、一ツ星レストランに勤務しました。
しかし、現地で出会ったシャルキュトリーの世界がすべてを変えました。
転身を決意した真子さんは、フランスの国家最優秀職人賞「MOF(Meilleur Ouvrier de France)」の称号を持つ師匠のもとで、その技を徹底的に学びます。
修業の地はフランス北西部・ブルターニュ地方で、リンゴとそばが特産のこの土地との縁が、後の安曇野移住という選択にもつながっていきます。
2021年にはシャルキュトリーのメニューのひとつ「パテ・クルート世界選手権」で、優勝シェフのアシスタントを務めるなど、常に第一線で腕を磨き続けました。

