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50品種のリンゴが実る長野県飯綱町 廃校リノベ工房から新たな魅力発信 あなたの「推しリンゴ」に出会える町

■廃校がタルト工房に!3日間煮込む究極のスイーツ

フランスの伝統的なお菓子 タルトタタン

閉校になった小学校をリノベーションした複合施設で、タルト専門店・泉が丘喫茶室を経営する植田麻緒さん。飯綱町出身で実家はリンゴ農家という植田さんの推しリンゴは「シナノピッコロ」です。

「焼いてもきれいな色が出るのでタルトによく使います。見た目からインパクトのあるものを作ろうと思っています」と話す植田さん。

名物は、フランスの伝統的なお菓子タルトタタン。驚くのはその製法で、通常は加工用リンゴを使うところを、贈答用で人気の「サンふじ」を使用し、なんと3日間かけて作り上げるのです。

「サンふじは飯綱町で一番栽培量が多くて、多いということははね出しもたくさんある。そのはね出しリンゴの価値をあげられないかと思い、あえてサンふじを使っている」という植田さんの想いが込められています。

砂糖を使わずリンゴそのままの甘さを活かしたタルトタタンは、「食感はトロトロで、リンゴの濃厚な甘みがギュッと凝縮されています。後から酸味が追いかけてくるのでバランスが絶妙」な仕上がりです。

多品種を活かした取り組みは県外からも注目を集め、大阪でカフェを展開する企業の社員が視察に訪れるほどです。

「関西ではリンゴにそんなに種類があるとは思っていない。せいぜい3種類ぐらい。品種ごとの味の違いが新鮮に食べられる。長野県の一番の売りじゃないか」という驚きの声も上がりました。

「品種によって味の違いを色んなリンゴを食べて確かめてほしい。ぜひ、推しのリンゴを見つけていただきたい」と植田さんは話します。

■天然記念物のリンゴがシードルに変身

高坂りんごのシードル

タルト専門店の隣にある林檎学校醸造所では、代表の小野司さんがリンゴを発酵させて作るお酒「シードル」を製造しています。

飯綱町出身で実家はリンゴ農家の小野さんは「飯綱町のリンゴは味が濃くて酸味がしっかりしたリンゴもある。よりおいしい、味わいの深いシードルが出来る」と自信を見せます。

150キロのリンゴから110リットルほど絞り、約2か月の発酵を経て現在20種類のシードルを製造。中でも小野さんの推しリンゴは、町の天然記念物に指定された在来種の和リンゴ「高坂りんご」です。

「最大の特長は渋み。お酒の渋みはワインにもあるように欠かせない要素」と語る小野さんが作るシードルは、まず渋みを感じた後に甘さと酸味が口の中に広がる、深い味わいに仕上がります。琥珀色に輝く美しいシードルからは、この品種ならではの奥深い味を感じることができます。

■廃棄リンゴがレザーやペットフードに

 

林檎学校醸造所では、持続可能な取り組みにも力を入れています。異常気象や自然災害で廃棄となるリンゴを無駄なく消費したいという想いから、搾りかすも活用した商品開発を進めているのです。3年前にはリンゴレザーを長野市の企業と開発し、2025年8月にはペットフードも製造しました。

多品種を活かした様々な取り組みが進む飯綱町の「リンゴ」。色も大きさも味わいも様々な品種の中から、あなたの「推しリンゴ」を見つけてみてはいかがでしょうか。

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