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学校グランドでの落雷事故後…接近を知らせる「検知器」が注目 全国から注文が相次ぎ在庫切れの状態に

「雷報」

長野県松本市の企業が3年前に開発したある製品が、今、注目を浴びています。それは、雷の接近を知らせる「雷検知器」。4月、奈良県で起きた落雷事故の後、全国から注文が寄せられ在庫切れの状態となっています。

雷の威力を示す実験(提供:電力中央研究所)

松本市寿にある精密機器製造の「シナノカメラ工業」。3年前に開発したある製品が、今、注目を浴びています。

片手に収まるサイズの赤い電子機器。ある気象現象の接近を知らせてくれます。

シナノカメラ工業・河西秀一社長:
「一般的に、雷が近づいてゴロゴロと鳴ると、いつ落ちてもおかしくない状況ですので、音が聞こえる前に接近していることを感知して、音で知らせるという装置」

雷の検知器、その名も「雷報」です。

大気が不安定な時に発生する雷。その力は、電圧で表すと家庭用の電気の100万倍にあたる「1億ボルト」といわれています。

こちらは雷の威力を示す実験映像。人工の雷を発生させると。



ブロックが粉々に

一瞬でブロックが粉々に。威力のすさまじさが伝わってきます。

雷報は、内蔵のアンテナが、雷の発する電磁波を感知することでアラームを発する仕組みです。感知できる範囲は最大で半径60キロ。雷が近づいてくると、アラームの間隔が短くなります。

シナノカメラ工業・河西秀一社長

シナノカメラ工業は、電子機器の受託生産をメインとしていて、自社開発の製品は「雷報」が初めてです。なぜ、開発したのでしょうか。

シナノカメラ工業・河西秀一社長:
「落雷事故をなくしたい、悲しい思いをさせたくない。未来の子どもたちとかいろんな場面で命を守れる、人の役に立てる製品になるかなと」

県内では1967年、学校登山で北アルプス西穂高岳を訪れいた松本深志高校の生徒46人が落雷に遭い、11人が死亡、13人が重軽傷を負う事故がありました。

5年ほど前に事故の話を、取引先の無線機器開発会社の役員から聞いた河西社長。ちょうど自社製品の開発を模索していた時期で、雷検知器の開発に乗り出しました。

3年前に商品化し、2024年は1年間で80個を販売しました。ただ、今年は4月以降で500個以上の注文が寄せられています。理由は、奈良県で起きた落雷事故です。

4月10日、グラウンドに雷が落ち、部活動中の中学生と高校生合わせて6人が病院に搬送されました。

事故の後、教育関係の商社や県外の学校などから問い合わせが相次ぎ、在庫切れの状態となっています。今は7月からの販売再開を目指して準備を進めています。

シナノカメラ工業・河西秀一社長:
「落雷というのは、どこでもいつ起きるかわからなくて、痛ましい事故にもつながる。いかに早く避難するかという、行動をとるかというのが重要。少しでも命が助かってもらいたい、けがを防いでもらいたい、そういう強い思いがある」

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