
資料 シャインマスカット
返礼品の産地偽装問題で、須坂市(長野県)は、総務省への報告内容を明らかにしました。一連の問題について、「事業者による故意の産地偽装」とした一方、問題把握後も寄付の受け付けを続けた市の対応については、「すぐに停止して、現地調査を行うべきだった」としました。一方、一連の問題で大きな影響を受けているのが生産者です。シャインマスカットを返礼品に出していた市内の農家は「裏切られた」と怒りをあらわにしています。他の販路を探すなど対応を迫られていて、風評被害も懸念しています。
須坂市内の果樹農家の市川秀樹さんです。シャインマスカットの他、リンゴやモモなども栽培していて、出荷全体の4割から5割を市のふるさと納税の返礼品に出していました。
2025年も3月までに230件ほどの予約が入り、順調に進んでいた矢先の問題発覚にショックを隠せません。
市川ファーム・市川秀樹さん:
「驚きで頭が真っ白、須坂市、グルメ市場、生産者みんなで頑張ってきたチーム・仲間だと思っていたが裏切られた感があって、悲しい」
市は問題を受けて、ふるさと納税の寄付の受け付けを停止しています。
再開の見通しは立たず、市川さんの出荷する果物も多くが行き場を失うことに。そこで、2025年度は急きょ「須坂市」ではなく「県」の返礼品に登録をし直しました。
対応を迫られる中、市川さんが最も懸念しているのは、すべての農産物に対する「風評被害」です。
市川ファーム・市川秀樹さん:
「今回、ふるさと納税の産地偽装という悪い情報が全国に広まってしまったこと、産地偽装をやってないのに(他の農産物の)価格全体が暴落してしまう。そこまで悪質だと判断されるなら国として捜査して、なぜここまでのことが起きたのかと大きく取り締まる(ことが必要)」
市は、一連の問題について「事業者による故意の産地偽装」との認識を示しています。
ただ、生産者への補償を行う方針などは示していません。
須坂市・三木市長:
「例えばJAで出すとか、県のマッチングサイトとか、自分たちで販路を拡大することも大事じゃないか。損害賠償という以前に、個々の農家にある程度努力してもらうことが大切」
こうした市の姿勢に不信感を抱いている市川さん。今回の問題をきっかけに市の返礼品に頼らない新たな販路の開拓を進める必要があると考えています。
市川ファーム・市川秀樹さん:
「生産者・事業者が覚悟を決めて市から脱皮していく一つのきっかけだと思っている。販路開拓はそんなに簡単なことじゃない。須坂市の農産物を応援してほしいと思っています」