
提供:長野県警
今シーズンは雪に恵まれたこともあり、長野県内には多くのスキーヤー・スノーボーダーが訪れています。そうした中、相次いでいるのが、スキー場の管理区域外いわゆる「バックカントリー」を滑走中の遭難です。県警は、滑走する場合は、リスクを認識し、十分な備えをするよう呼びかけています。
県警:
「県警です。一緒に上がりますからね」
遭難者:
「ありがとうございます」
こちらは県警の隊員のカメラがとらえた1月26日の北アルプス白馬乗鞍岳での遭難救助の様子です。
救助を求めたのは東京都の30代男性。
県警:
「転んじゃったってこと?」
遭難者:
「岩に」
県警:
「あ、岩に当たったの?」
仲間と3人でバックカントリースキーをしていたところ、岩にスキー板がぶつかり、左ひざをひねったと言います。
天候が良かったことから県警ヘリで搬送。男性は軽傷でした。
スキーシーズン本番を迎えた中、こうした「バックカントリー」での遭難が相次いでいて、県警によりますと、今年に入り、13日までに13件19人が遭難。うち1人が死亡しました。前の年の同じ時期と比べると1件4人増えています。
県警山岳遭難救助隊の岸本隊長は、「バックカントリー」にはさまざまなリスクが潜んでいると言います。
県警 山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「整備されていない実際の野山を滑るわけですので、1つは雪崩のリスク。樹林帯の中を滑る場合は立木に衝突してしまう事故が多く、立木への衝突のリスク。地形の把握ができていないと、一気に行動不能になってしまうリスクがある」
山林内の斜面でロープを引っ張る県警の隊員。引き揚げたのは人を乗せたストレッチャーです。
こちらは1月6日、小谷村親沢付近で発生した遭難救助の様子です。遭難したのはイスラエル国籍の男性3人。原因は「道迷い」でした。
幸い、居場所がある程度わかっていたことから、県警の隊員などが発見し、無事救助しました。3人は持っていたスコップで雪洞を掘り、寝袋を体に巻き付けて身を寄せ合いながらビバークしたということです。
バックカントリーでの遭難は、救助までに時間がかかることが多いため、十分な備えが必要だと言います。
県警 山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「用意を持っている人が少ないので、雪山の中、着の身着のまま過ごさなきゃいけない状況に。寒さで消耗しないような対応をしていく。例えば雪洞を掘るとか、着れるものを着るとか、そういった寒さから身を守る対策をして救助を待つことが大切」
県警は、県と連携しながら、「登山届を提出すること」「十分な装備をすること」など、バックカントリーでの滑走の注意喚起にも力を入れています。
県警 山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「事前に登山届、計画書を出していただく。仲間、家族と共有してもらうことが一番大事。何かアクシデントが起きた時に、どうすればいいのか、どんな事態になるのか想像をして、できる準備をしていただきたい」