■町の打ち刃物職人の最年少は74歳

石田俊雄さん
信濃町の打刃物職人は40年ほど前は60人以上いましたが、今は石田さんを含め5人。役場によると高齢化も進み実は74歳の石田さんが最年少です。
“師匠”石田俊雄さん(74):
「ここの集落は昔、相当(鍛冶屋が)あった、周りほとんどそうだったね。朝になれば向槌といって、刀匠でいえばお弟子さんみたいに、でかい槌やってんね、あんな音がよく聞けた。今5人しかいないんですわ、職人たるものね。ちょっと残念だね、寂しい」

石田さんと父・春亀さん(提供:石田さん)
石田さんは中学卒業後、家業の「打刃物」の道へ。父・春亀さんから技を受け継ぎました。
“師匠”石田俊雄さん(74):
「(当時の思い出は)怒られたのしかない、今みたいに教え方って、そういうふうに教えてもらったの一回もない。怒られてさ、ダメ、ダメとか言われたって何がダメかわからないし」
その石田さんにこの春、初めての弟子ができたのです。
■工場で炉の準備から鎌作り

利器材を火にかける
11月15日―。
大木島蓮さん(18):
「おはようございます」
町内で一人暮らしをしている大木島さん。毎朝、車で工場へ。
大木島蓮さん(18):
「まだ雪をこっちに来てからは見ていないので、初めての雪になる。地元(松川町)とは勝手も違うと思うので不安」
工場に着くとまず炉の準備。炭とコークスを入れて火をつけます。
大木島蓮さん(18):
「8月9月あたりからようやく(この準備も)習慣みたいになった」
炉が温まったら鋼と鉄を合わせた刃物の素「利器材」を火にかけます。

鎌作り
修業は道具の名前や使い方を学ぶことから始まりました。
今は、石田さんの親戚の工場を借りて実際に鎌作り。この日は21ある工程の4つ目、利器材を鎌の形にしていく「広げ」に取り組みました。
大木島蓮さん(18):
「自分の手でも熱さえあれば曲がったりするので楽しい」
■師匠が「信州鎌」の作り方指導

信州鎌の作り方を指導
石田さんが訪れ、指導が始まりました。自身が受けた時とは違い、やさしく丁寧です。
“師匠”石田俊雄さん(74):
「2つばかりトントンと常に頂点に向かって平行にやるように」