
唐松岳で撮影された70代男性の救助の様子(YouTube長野県警公式チャンネルより)
本格的な夏山シーズンに入り、山岳遭難も急増しています。7月に入ってからの遭難者は61人。過去5年で最悪だった2023年を上回っています。県警は高齢者を中心に体力や技量に見合った登山を呼びかけています。
7月は好天に恵まれ登山者が増えたとみられ、28日までの遭難者は61人。過去5年で最悪だった2023年の1.6倍です。
死者は9人でこのうち、7人が滑落、2人は持病などの体調悪化が原因でした。年代別では60歳以上の高年齢層が42人で、全体のおよそ7割を占めています。
県警山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「(高齢者は)体力的な衰えとか、バランス感覚の低下は避けられないので、転倒してしまう、滑落してしまう。持病が山の上で悪化してしまう」
こちらは2023年夏、唐松岳で撮影された70代男性の救助の様子。
隊員:
「ちょっとキツくないですか?結構しんどいですよね、ルート的に。ちょっとルートはお考えになった方がいいかもしれないです」
「疲労ですよね?」
70代男性:
「ええ」
隊員:
「ビバークセットないですよね?」
70代男性:
「ないです」
一方、こちらは2024年6月、木曽駒ヶ岳で、経験が浅く装備不足などで行動不能になった男性登山者。
行動不能になった男性登山者:
「今回行ったコースは、誰かが前回行った記録を見てそれを真似して行っている。別のルートを通ったのですが、体感的には何時間も歩いている感じで、もう今さら戻れないという感覚」
県警山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「ちゃんと自分のレベルでこの山に登れるのか、それを客観的に把握できない方が増えている」
北アルプス白馬鑓ヶ岳で熱けいれんにより行動不能になった20代女性。
隊員:
「全く腕は利かない?」
遭難者:
「手を開けないです」
夏山では熱中症にも注意が必要です。水分や栄養補給が欠かせません。
遭難者の急増を受けて県警は、県がホームページで公開している「信州山のグレーディング」などを参考にして体力や経験に見合った登山を心掛けるよう改めて呼びかけています。
県警山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「(もしもに備えて)事前の準備をする、当日の行動もする。遭難にあわない秘けつ。自分でちゃんと準備してレベルに合った山に登ってもらえれば」