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「黙秘します」4人殺害事件の初公判で被告の男 長野県中野市 「ぼっち」「きもい」と言われていると思っていた 争点は「刑事責任能力」と「量刑」

青木政憲被告(34)廷内スケッチ(イラスト:一色こうき)

2023年、長野県中野市で警察官を含む男女4人が殺害された事件の初公判が開かれ、被告の男は「黙秘します」と述べました。裁判は、被告の刑事責任能力と量刑を争点に進められます。

傍聴券を求めて370人が集まった9月4日朝の長野地方裁判所。注目の裁判員裁判が始まりました。

殺人などの罪に問われている、中野市の青木政憲被告(34)。起訴状などによりますと、2023年5月、散歩をしていた女性2人をナイフで刺して殺害した上、通報を受けて駆け付けた警察官の池内卓夫さん(当時61)と、玉井良樹さん(当時46)を猟銃やナイフを使って殺害したとされています。

午前10時に始まった初公判。青木被告は、グレーの長袖シャツとカーキのズボン姿で入廷。落ち着きながらも、ちらちらと傍聴席に目を向けたり、上を向いたりしていました。そしてー。

(記者リポート)
「起訴状が読み上げられたあと、裁判長から『どこか違うところはありますか?』と聞かれると、青木被告は10秒ほど沈黙したあと、『黙秘します』と話しました」

起訴内容については「黙秘します」と述べて認否を明かしませんでした。

裁判の争点は被告の「刑事責任能力」と「量刑」です。青木被告が、1年ほど前から殺害した女性2人に「ぼっち」「きもい」などと言われていると思っていたこと、ナイフや猟銃を使って4人を殺害したことは、検察側、弁護側とも共通しています。

その上で、検察側は、「ナイフを購入して、刃を研いで鋭利にしていた」「遺体を隠す目的で台車に乗せ、自宅の敷地まで運んだ」などとし、「犯行時の被告人の判断に問題はなく、合理的な行動がとれていて、完全な責任能力があった」と主張しました。

廷内スケッチ(イラスト:一色こうき)

一方、弁護側は、精神鑑定の結果、「犯行当時は統合失調症の症状が再発・悪化した状態だった」とした上で、善悪の判断力などが著しく低下した「心神耗弱」の状態だったと主張しました。

その後の証人尋問では、事件直後に現場に駆け付けた警察官が出廷しました。被告の家の敷地内で倒れていた人のもとに向かったところ、猟銃を持った被告に追いかけられたと証言しました。

警察官(証人):
「『ここは銃を持ってよい場所ではない』などと警告した。『そんなことはわかっている。撃たないのでどこかに行くように』と言われた」

また、その時の被告の様子については、「冷静に対応しているように見えた。通常の受け答えだった」などと話しました。

裁判の後、取材に応じた弁護側は、黙秘した理由を明かしました。

弁護士:
「当初、黙秘権の行使は裁判ではしないと考えていたが、誰にも聞いてもらえなかったことを思い出して、裁判でも『何を話しても信じてもらえないだろう』という気持ちになって黙秘権を行使することに。私としてはこれも本人の症状の一つだろうと思う」

9月5日の証人尋問では被告の両親が出廷する予定です。

判決は10月14日に言い渡されます。

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