緊迫の搬送…124時間ぶりに93歳女性を無事救助　細心の注意払い、励ましの声かけ続けたDMAT隊

地震や津波で大きな被害が出た石川県珠洲市では、発災から5日後、124時間ぶりに93歳の女性が無事救出され、話題となりました。この女性を搬送したのが北信総合病院のDMATで、「責任重大な中、次につなげられてほっとした」と大仕事を振り返りました。

元日の地震の揺れや津波で大きな被害が出た珠洲市。これまでに死者99人、安否不明者4人が確認されています。その珠洲市で、先日、ある救出劇が話題となりました。

「がんばるよ」

こちらは、1月6日夜、珠洲市の倒壊した家屋で行われた救出活動の様子を現地で支援活動をしているNGOが撮影した映像です。

「分かりますか？分かる？」

運び出されたのは住人の93歳の女性。生存率が急激に下がるとされる「72時間の壁」を超え、発災から5日後、124時間ぶりに無事救出されました。

女性はその後、設備が整った金沢市内の病院に搬送され、命に別条はないということです。

北信総合病院DMAT・酒井健司医師：
「124時間ぶりの救出ということで、そういう方が助かったんだと。暗い状況が続く中、久しぶりの明るいニュースで、何とか助けたい、絶対に助けようと」

珠洲市から金沢市の病院に女性を搬送したのが、中野市の北信総合病院の災害派遣医療チームDMATです。任されたのには、ある理由がありました。

北信総合病院DMAT・酒井健司医師：
「おそらく雪なので、ヘリは飛ばないし『北信総合病院さん、雪道慣れてますかね』と話があったので『ぜひ任せてください』と。地域の人にとってもこんなに励みになるニュースはない、ぜひ頑張って（命を）つなげていきましょうと」

女性は救出後、珠洲市の病院で処置を受けましたが低体温や脱水状態が続いていました。医師や看護師が容体の急変に細心の注意を払い、励ましの声をかけ続けたと言います。

北信総合病院DMAT・酒井健司医師：
「長い時間、のども乾いて極限の状況で耐えて、血圧、顔色、おしっことか、にらめっこしながら少し点滴やったり、そういう状態で搬送した。『大丈夫？』と言ったら『大丈夫』と言うくらいの会話で」

およそ4時間かけて金沢市の病院に到着し、女性を引き継ぎました。

北信総合病院DMAT・酒井健司医師：
「『病院に無事たどり着いたので、しっかり診てもらって元気になりましょう』とお別れした。非常に自分としては…ほっとしたという言い方になってしまいますかね。責任重大だと思っていた中、次につなげることができたということで」

被災地で大仕事をやり遂げた信州のDMAT。北信総合病院では現在も輪島市にDMATを派遣しています。