YouTube X Instagram

「泣くつもりじゃ…」長野の“小かっぱ橋”惜しまれ60年の歴史に幕 市民や職人支えた“金物のデパート”

最後のにぎわいです。先日、特集でお伝えした長野市の金物店が、11月30日、60年の歴史に幕を下ろしました。市民や職人を支えてきた店の『最後の一日』を見つめました。

長野市東和田の「金物のデパート 吉沢金物店」。最後の開店準備です。

吉沢金物店・吉沢正彦社長(59):
「(閉店セールになっても)毎日商品のない中、いっぱい来てくれるからね。ありがたいよ、本当に…」

30日が最後の営業日でした。

店は昭和43(1968)年に市内の卸業者で働いていた先代の貞次さんが創業しました。

家庭用品から専門器具まで品ぞろえは常時2万点以上。市民の暮らし、職人たちの仕事を支えてきました。

しかし、ホームセンターの出店やインターネット販売の影響を受けるようにー。

昨今の物価高も追い打ちとなり、2代目の吉沢社長は苦渋の決断をしました。

吉沢正彦社長:
「消費者からすると、食べ物とかが一番になって、金物とかは傷んでも、まだ買い替えようとはそこまで手が回らなかったと思う」

店員:
「いらっしゃいませ」

迎えた最後の営業。商品は全品7割引きです。

食品卸業者:
「(何を買った?)台車を。いつもお世話になっていたんで、寂しくなって、最後に来させていただきました」

清掃業者:
「(何を買った?)実家の焼却炉の煙突。どれくらい来ていただろう…25年とか」

造園業者:
「本当に寂しい限りですね、記念にカゴまでもらって」
「店員さんに聞いたら『もらっていってください』って言われたので、なんでか3つ(ください)って言って」

社長と一緒に店を支えてきた弟・昭彦さん(56)。

「駆け込み」で依頼のあった500件以上の『研ぎ直し』に対応しました。

弟・昭彦さん:
「この短期間で500本前後は(経験)ないですね、ちょっと痩せたかな。(閉店は)残念だけど、頑張りました。本当にたくさんのお客さんに来てもらったのでありがたいですね」

夕方、閉店を惜しむ客が続々と…。

常連客が花束をプレゼント―。

吉沢正彦社長:
「長い間、ありがとうございました」

常連客:
「なんかさみしいね、お父さんのときからずっと知っているからさ」

吉沢正彦社長:
「時代の流れで…」

常連客:
「寂しいですよ(泣)」

常連客から酒のプレゼント―。

常連客:
「今までお世話になったので」

吉沢正彦社長:
「こっちの方がお世話になったよ」

午後6時、最後の客を見送る―。

吉沢正彦社長:
「ありがとうございました」
「最後のお客さま帰りました」

ガランとした店内。するとー。

社長の子どもたちが花束を…

吉沢正彦社長:
「どうした…」

花束を見て…

吉沢正彦社長:
「…こんなことしなくていいよ、ありがとうね(涙)」

長女・里彩さん:
「長い間、お疲れさまでした」

吉沢金物店・吉沢正彦社長(59):
「泣くつもりじゃなかったんだけど、涙が出てきてしまいました。いろんな店が出店して、インターネットも普及している中、吉沢金物店に足を運んで買い物に来ていただいて、本当に感謝しております。どうもありがとうございました」

惜しまれながら…吉沢金物店 閉店―
  • facebook
  • twitter
  • LINE
長野放送ニュース

あなたにおすすめ