
特集は、子育てを支える託児所。長野市に、年中無休で急な予約にも対応する、その名も「注文の多い託児所」がある。立ち上げたのは災害を機に、さまざまな託児の要望に応えたいと考えた一人の女性だ。
3月30日、朝―。
保護者:
「おはようございます。おねがいします」
利根所長:
「おはよう。いってらっしゃい」
子どもを連れた母親が続々とやってくる。ここは国道19号線沿いの元食堂を改装して2年前にオープンした「注文の多い託児所 けんけんぱっ」。
施設の特徴はー。
注文の多い託児所 けんけんぱっ・利根真理子所長:
「365日いつでも対応、可能な限り早朝夜間もなるべく対応するようにしています」
施設は年中無休。0才から小学生まで誰でも預けることができ、当日予約にも対応している。
立ち上げたのは代表の利根真理子さん(45)。
利根真理子所長:
「宮沢賢治の『注文の多い料理店』からお借りした。いろいろな注文をしてもらって、できるだけ応えていくという意味で『注文の多い託児所』にしました」
託児所をつくろうと考えた切っ掛けの一つは、4年前のあの出来事だ。
2019年、台風19号で千曲川の堤防が決壊。多くの住民が避難生活を余儀なくされた。
当時、被災地に近い放課後児童クラブに勤務していた利根さん。被災した家庭の子どもたちを預かるボランティア活動に参加した。
利根真理子所長:
「朝早くから片付けのボランティアが来るので、その前にお子さんを預けて、片付けに入って、夜遅くまでかかって迎えに来る」
活動を通じて利根さんは、年齢や曜日で受け入れの制限があっては被災者のニーズに応えられないことを痛感した。
利根真理子所長:
「子どもたちもそういう大変な状況にいると不安定になり、片付け自体も進まなかったと思います。だんだん子どもが楽しく過ごして帰ってくるというのを重ねていくと『ありがとう』に変わっていくわけですね、保護者の見方や考え方が。やっててよかったなって」
県内の保育施設はおよそ600。これに対し、利用する子どもは5万人弱に上るが(2022年4月時点)、長野市や松本市では希望する園に入れない「待機児童」が出る状況が続いている。
こうした状況もあって利根さんは「さまざまな要望に応える施設が必要」と考え、自ら託児所を開く決心をした。
児童クラブに勤める中、資格を取得。元食堂をリノベーションして2021年4月、365日対応の託児所をオープンさせた。
利根真理子所長:
「お正月とかお盆とか祝日も、世間一般がお休みの時でも動く人はいるわけで、どうしようと思っている方のお手伝いができるのかなって。そこから年中無休、365日(利用可能にしようと考えた)。開所したときは手探りだったので、本当にそのニーズがあるのかだんだん不安になって、最初はもう不安でいっぱい」
不安はやがて解消された。オープンから2年で登録者は200人余り。
この日も春休みとあって、朝から10人ほどの子どもたちが過ごしていた。
対応するのは利根さんともう一人のスタッフ。小さい子は目が離せない。
利根真理子所長:
「どうしたの、痛かった?ゴンしたら痛いよ、飛んでけやる?痛いの痛いの…ガブ、たべちゃった、大丈夫ね」
子どもたちが乗り物を奪い合い…
利根真理子所長:
「これお姉ちゃん乗ってるからバツだわ。なんか違うの、アンパンマンもより取り見取り」
利根真理子所長:
「小さい子から大きい子までの、それぞれの遊び方とか動きの範囲も全然違うので、その辺は特に気を使っています」
午前11時―。
利根真理子所長:
「ありがとうございました、またね」
託児は30分単位。短いケースにも、1日預かりにも対応している。
1歳と3歳の保護者(長野市):
「(きょうはどうして利用?)私の通院で。急な予約にも対応してくれるので、助かっています」
昼、いっぱい遊んだ子どもたちは、おなかがぺこぺこ。持参したお弁当をほおばる。
ご飯を食べたらお昼寝だ。
午後3時―。
また元気いっぱいに遊ぶ子どもたち。
利根真理子所長(本の読み聞かせ):
「ある日、トーマスが…」
利根真理子所長:
「一時預かりであっても、たまにの預かりであっても、それまでの期間の成長に驚かされるし、その日の中の成長もすごく毎回驚かされる」
夕方、「お迎え」が徐々に増えていく。
子ども:
「おかあさんきた!」
利根真理子所長:
「おかえりなさい」
3人の子ども:
「おかあさ~ん」
「おかあさーん!」
「おかあさーん」
遠く白馬村から…。
利根真理子所長:
「お昼寝2時間してます」
3歳、5歳、6歳の保護者(白馬村):
「仕事が急に入っちゃったので、預ける所がなくて困っていたんですけど、子どもを家においておくというのは大変なので、こういう施設があると本当に助かる」
2歳、6歳の保護者(長野市):
「きょうは仕事があるので利用しました。急な予定が入ったり、予定が変わったりしたとき、利用したりキャンセルも簡単にできて助かっています」
18時、最後のお迎え―。
利根真理子所長:
「おかえりなさーい」
保護者:
「おいで」
利根真理子所長:
「ごはん半分くらい食べたか食べないくらいで、完全に寝ちゃって。全然起きなくて、そのままお布団に移動した」
保護者:
「珍しい」
1歳の保護者(小川村):
「共働きなので、なかなか自分たちの働き方にあう所って見つけられなくて、どっちかが時短で働いたり専業になったり、それだとこれからの時代、難しいかなと思う。こういった利根さんのような施設が増えれば、すごく助かる人も多いと思う」
365日対応の「注文の多い託児所」。
子育て世代の頼もしい味方だ。
注文の多い託児所 けんけんぱっ・利根真理子所長:
「きっとまだ気づいていない保護者の『困った』ってたくさんあると思う。子どもがいるから何かをがまんするとか(ではなく)、子どもがいても自分がやりたいことができたり、お仕事とか子どものせいにせずに、やりたいことができる社会をつくるお手伝いができればいいな」
3月30日、朝―。
保護者:
「おはようございます。おねがいします」
利根所長:
「おはよう。いってらっしゃい」
子どもを連れた母親が続々とやってくる。ここは国道19号線沿いの元食堂を改装して2年前にオープンした「注文の多い託児所 けんけんぱっ」。
施設の特徴はー。
注文の多い託児所 けんけんぱっ・利根真理子所長:
「365日いつでも対応、可能な限り早朝夜間もなるべく対応するようにしています」
施設は年中無休。0才から小学生まで誰でも預けることができ、当日予約にも対応している。
立ち上げたのは代表の利根真理子さん(45)。
利根真理子所長:
「宮沢賢治の『注文の多い料理店』からお借りした。いろいろな注文をしてもらって、できるだけ応えていくという意味で『注文の多い託児所』にしました」
託児所をつくろうと考えた切っ掛けの一つは、4年前のあの出来事だ。
2019年、台風19号で千曲川の堤防が決壊。多くの住民が避難生活を余儀なくされた。
当時、被災地に近い放課後児童クラブに勤務していた利根さん。被災した家庭の子どもたちを預かるボランティア活動に参加した。
利根真理子所長:
「朝早くから片付けのボランティアが来るので、その前にお子さんを預けて、片付けに入って、夜遅くまでかかって迎えに来る」
活動を通じて利根さんは、年齢や曜日で受け入れの制限があっては被災者のニーズに応えられないことを痛感した。
利根真理子所長:
「子どもたちもそういう大変な状況にいると不安定になり、片付け自体も進まなかったと思います。だんだん子どもが楽しく過ごして帰ってくるというのを重ねていくと『ありがとう』に変わっていくわけですね、保護者の見方や考え方が。やっててよかったなって」
県内の保育施設はおよそ600。これに対し、利用する子どもは5万人弱に上るが(2022年4月時点)、長野市や松本市では希望する園に入れない「待機児童」が出る状況が続いている。
こうした状況もあって利根さんは「さまざまな要望に応える施設が必要」と考え、自ら託児所を開く決心をした。
児童クラブに勤める中、資格を取得。元食堂をリノベーションして2021年4月、365日対応の託児所をオープンさせた。
利根真理子所長:
「お正月とかお盆とか祝日も、世間一般がお休みの時でも動く人はいるわけで、どうしようと思っている方のお手伝いができるのかなって。そこから年中無休、365日(利用可能にしようと考えた)。開所したときは手探りだったので、本当にそのニーズがあるのかだんだん不安になって、最初はもう不安でいっぱい」
不安はやがて解消された。オープンから2年で登録者は200人余り。
この日も春休みとあって、朝から10人ほどの子どもたちが過ごしていた。
対応するのは利根さんともう一人のスタッフ。小さい子は目が離せない。
利根真理子所長:
「どうしたの、痛かった?ゴンしたら痛いよ、飛んでけやる?痛いの痛いの…ガブ、たべちゃった、大丈夫ね」
子どもたちが乗り物を奪い合い…
利根真理子所長:
「これお姉ちゃん乗ってるからバツだわ。なんか違うの、アンパンマンもより取り見取り」
利根真理子所長:
「小さい子から大きい子までの、それぞれの遊び方とか動きの範囲も全然違うので、その辺は特に気を使っています」
午前11時―。
利根真理子所長:
「ありがとうございました、またね」
託児は30分単位。短いケースにも、1日預かりにも対応している。
1歳と3歳の保護者(長野市):
「(きょうはどうして利用?)私の通院で。急な予約にも対応してくれるので、助かっています」
昼、いっぱい遊んだ子どもたちは、おなかがぺこぺこ。持参したお弁当をほおばる。
ご飯を食べたらお昼寝だ。
午後3時―。
また元気いっぱいに遊ぶ子どもたち。
利根真理子所長(本の読み聞かせ):
「ある日、トーマスが…」
利根真理子所長:
「一時預かりであっても、たまにの預かりであっても、それまでの期間の成長に驚かされるし、その日の中の成長もすごく毎回驚かされる」
夕方、「お迎え」が徐々に増えていく。
子ども:
「おかあさんきた!」
利根真理子所長:
「おかえりなさい」
3人の子ども:
「おかあさ~ん」
「おかあさーん!」
「おかあさーん」
遠く白馬村から…。
利根真理子所長:
「お昼寝2時間してます」
3歳、5歳、6歳の保護者(白馬村):
「仕事が急に入っちゃったので、預ける所がなくて困っていたんですけど、子どもを家においておくというのは大変なので、こういう施設があると本当に助かる」
2歳、6歳の保護者(長野市):
「きょうは仕事があるので利用しました。急な予定が入ったり、予定が変わったりしたとき、利用したりキャンセルも簡単にできて助かっています」
18時、最後のお迎え―。
利根真理子所長:
「おかえりなさーい」
保護者:
「おいで」
利根真理子所長:
「ごはん半分くらい食べたか食べないくらいで、完全に寝ちゃって。全然起きなくて、そのままお布団に移動した」
保護者:
「珍しい」
1歳の保護者(小川村):
「共働きなので、なかなか自分たちの働き方にあう所って見つけられなくて、どっちかが時短で働いたり専業になったり、それだとこれからの時代、難しいかなと思う。こういった利根さんのような施設が増えれば、すごく助かる人も多いと思う」
365日対応の「注文の多い託児所」。
子育て世代の頼もしい味方だ。
注文の多い託児所 けんけんぱっ・利根真理子所長:
「きっとまだ気づいていない保護者の『困った』ってたくさんあると思う。子どもがいるから何かをがまんするとか(ではなく)、子どもがいても自分がやりたいことができたり、お仕事とか子どものせいにせずに、やりたいことができる社会をつくるお手伝いができればいいな」