
「幻のレンコン」です。長野市若穂綿内地区で江戸時代から栽培されている「綿内れんこん」。今や生産農家は3軒だけとなっています。珍しい県産レンコンを守ろうと、青果店の男性もその魅力を発信しています。
♪(RENCON SONG)
「始まり始まりは江戸時代 から続くレンコンの物語 今じゃ幻とうたわれる程に…」
長野駅前に響く歌声。
♪(RENCON SONG)
「レンコン 綿内れんこん 長野じゃ唯一ここだけのレンコン 綿内れんこん 代々つながる堀さんのレンコン…」
レンコンの歌を歌っているのは、松代町で青果店を営む小山修也さん(40)。伝統野菜の魅力を広めようと定期的に出張販売しています。
小山修也さん(40):
「ずっと好きだった音楽を通して、野菜のことを伝えていけたらいいんじゃないかと思って、その1曲目がこの『綿内れんこん』でした」
泥の中から掘り出されたレンコン。これが小山さんが歌にした「綿内れんこん」です。その名の通り、若穂綿内地区で栽培されています。秋から春先にかけてが収穫期で、今まさに、旬のど真ん中です。
堀重文さん(43)は祖父の代から続くレンコン農家。
「綿内れんこん」農家・掘重文さん:
「よくテレビでやるのは、水圧でレンコンが浮いてくるところで掘っているけど、ここは土が粘り気あるんで、手で掘らないと。『手くわ』を使って手で掘るというのが一般的になります」
「綿内れんこん」は一般的なレンコンとは違い、収穫期に水をためず、深さ50センチの泥の中から「手くわ」という道具で掘り出します。1本1本、丁寧に…。
この時期、堀さんは半日で120キロ近くを収穫します。栽培の歴史は古く、郷土誌によると「天保12(1841)年に松代からの種を取り入れて作った」と記されています。江戸時代後期から千曲川沿いで盛んに栽培されていたようです。
しかし、今は…栽培農家は堀さんを含め3軒だけ。堀さんは父・三喜男さん(73)と一緒に1ヘクタール以上の田んぼで栽培しています。
「綿内れんこん」農家・掘重文さん:
「レンコン農家さんも残りわずかになってきてしまっているので、できるだけ頑張って、レンコンを絶やさないようにしたいなと思って作っています」
父・三喜男さん(73):
「(大変では?)もうこの格好慣れちゃってるけど、だんだんダメだね。見た通り大変な仕事だから、若い人はなかなかやらないからね」
レンコン出荷量は茨城県が断トツの1位で、50%以上のシェアを占めています。長野県は調査データに入っていないほど出荷量が少なく、県によりますと、出荷されているのは「綿内れんこん」のみということです。生産量が減り「幻のレンコン」とまで言われるようになった現状に、堀さんは…。
「綿内れんこん」農家・掘重文さん:
「掘るのも大変だし、かなりの重労働になってくるので、大変なのはわかるんですけど、誰かしらにつなげていければいいのかなと思う。地域の人は喜んで食べてくれているので、そういう人のためにも残していきたい」
販売する立場で「綿内れんこん」を応援しているのが、冒頭で紹介した小山さんです。長野市松代町で創業100年の青果店「野菜のカネマツ」を営み、伝統野菜の販売に力を入れています。「綿内れんこん」は3代にわたって扱っているそうです。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「実はおじいちゃん同士が昔、取引していた。在来の伝統野菜と言われる野菜、そういう野菜を作ってくれたり、守ってくれている農家を自分たちも応援したい」
この日は、「綿内れんこん」を初めて買いに来たという客が来店。
市内から:
「そんな近くで土に入っているレンコンを知らなかったので、食べてみたいなと」
ここでレンコンをおいしく食べるためのアドバイス。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「基本どこを食べてもおいしいんですけど、先に行くにつれてレンコンも柔らかい新しいレンコンになっていくので」
芽に近く、丸っぽい形のレンコンは柔らかく、葉に近い細長い部分は繊維が豊富で、すりおろしの料理などに向いているそうです。お薦めの料理を教えてもらいました。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「やっぱり『酢煮』ですかね、衝撃だったので」
「酢煮」は歌の中にも登場。
♪(RENCON SONG):
「初めてお邪魔した堀さん家 で食べた料理の『酢煮』が絶品 トロミ粘りなのにシャッキシャキ 止まらない箸と昔話」
小山さんの母・都代さんに酢煮を作ってもらいました。味付けに使うのは酢、砂糖、塩、薄口しょうゆなど。まずスライサーで薄く切り、水を振りかけます。
母・都代さん:
「少しお水に浸す、このお水がすごく粘りがまた後で出てくる。お水がこういうふうに…」
そのあと、油を敷いたフライパンで半透明になるまで弱火で炒めます。そこに…
母・都代さん:
「さっきのレンコンのうまみが出たこの水を入れます。こんなにとろみが…」
調味料を入れ、軽く炒めたら…
「綿内れんこんの酢煮」の完成です。
(記者リポート)
「しゃきしゃきとした食感の中に粘り気と、酢のさっぱりとした味付けで、とてもくせになりそうです」
長野市のそば店「そば八(や)」。店長の掘内さんは修業先で「綿内れんこん」を知り、以来、自分の店でも天ぷらにしています。
そば八・堀内和義店長:
「食感もいいですし、甘みも強いと思います」
客:
「おいしいです。あまりレンコン好きじゃなかったんですけど、ここで綿内れんこんの天ぷらを食べるようになってから好きになりました」
「綿内れんこん」などの伝統野菜の魅力を広めるため小山さんは毎週火曜、長野駅前で「マルシェ」を開いています。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「レンコン大きいのと小さいのあるんで、めちゃくちゃおいしいんで」
客:
「何で食べるのがいい?」
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「きんぴらとかもおいしいし、一番は酢煮って食べ方」
購入した客:
「(県産のレンコンは)聞いたことはあったけど、茨城とかのイメージなので驚き。地元の地域活性化になっていい」
♪(RENCON SONG):
「むかしむかしからつながれた この種には宿る土地の力……」
「綿内れんこん うなるやおやごはんのハチも レンコーン」
聞いていた人:
「キャッチーなメロディーだなって思って、サビ覚えちゃいました」
生産者が減り、「幻」と言われるまでになった「綿内れんこん」。小山さんは地域の宝として残したいと話しています。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「とにかく好きすぎちゃったというのもあるんですけど、この地域ならではの財産だと思うので、地域の財産を地域の人たちが知ることが一番」
♪(RENCON SONG):
「レンコーン 綿内れんこん 届けお届け日本全土 レンコーン レンコーン」
♪(RENCON SONG)
「始まり始まりは江戸時代 から続くレンコンの物語 今じゃ幻とうたわれる程に…」
長野駅前に響く歌声。
♪(RENCON SONG)
「レンコン 綿内れんこん 長野じゃ唯一ここだけのレンコン 綿内れんこん 代々つながる堀さんのレンコン…」
レンコンの歌を歌っているのは、松代町で青果店を営む小山修也さん(40)。伝統野菜の魅力を広めようと定期的に出張販売しています。
小山修也さん(40):
「ずっと好きだった音楽を通して、野菜のことを伝えていけたらいいんじゃないかと思って、その1曲目がこの『綿内れんこん』でした」
泥の中から掘り出されたレンコン。これが小山さんが歌にした「綿内れんこん」です。その名の通り、若穂綿内地区で栽培されています。秋から春先にかけてが収穫期で、今まさに、旬のど真ん中です。
堀重文さん(43)は祖父の代から続くレンコン農家。
「綿内れんこん」農家・掘重文さん:
「よくテレビでやるのは、水圧でレンコンが浮いてくるところで掘っているけど、ここは土が粘り気あるんで、手で掘らないと。『手くわ』を使って手で掘るというのが一般的になります」
「綿内れんこん」は一般的なレンコンとは違い、収穫期に水をためず、深さ50センチの泥の中から「手くわ」という道具で掘り出します。1本1本、丁寧に…。
この時期、堀さんは半日で120キロ近くを収穫します。栽培の歴史は古く、郷土誌によると「天保12(1841)年に松代からの種を取り入れて作った」と記されています。江戸時代後期から千曲川沿いで盛んに栽培されていたようです。
しかし、今は…栽培農家は堀さんを含め3軒だけ。堀さんは父・三喜男さん(73)と一緒に1ヘクタール以上の田んぼで栽培しています。
「綿内れんこん」農家・掘重文さん:
「レンコン農家さんも残りわずかになってきてしまっているので、できるだけ頑張って、レンコンを絶やさないようにしたいなと思って作っています」
父・三喜男さん(73):
「(大変では?)もうこの格好慣れちゃってるけど、だんだんダメだね。見た通り大変な仕事だから、若い人はなかなかやらないからね」
レンコン出荷量は茨城県が断トツの1位で、50%以上のシェアを占めています。長野県は調査データに入っていないほど出荷量が少なく、県によりますと、出荷されているのは「綿内れんこん」のみということです。生産量が減り「幻のレンコン」とまで言われるようになった現状に、堀さんは…。
「綿内れんこん」農家・掘重文さん:
「掘るのも大変だし、かなりの重労働になってくるので、大変なのはわかるんですけど、誰かしらにつなげていければいいのかなと思う。地域の人は喜んで食べてくれているので、そういう人のためにも残していきたい」
販売する立場で「綿内れんこん」を応援しているのが、冒頭で紹介した小山さんです。長野市松代町で創業100年の青果店「野菜のカネマツ」を営み、伝統野菜の販売に力を入れています。「綿内れんこん」は3代にわたって扱っているそうです。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「実はおじいちゃん同士が昔、取引していた。在来の伝統野菜と言われる野菜、そういう野菜を作ってくれたり、守ってくれている農家を自分たちも応援したい」
この日は、「綿内れんこん」を初めて買いに来たという客が来店。
市内から:
「そんな近くで土に入っているレンコンを知らなかったので、食べてみたいなと」
ここでレンコンをおいしく食べるためのアドバイス。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「基本どこを食べてもおいしいんですけど、先に行くにつれてレンコンも柔らかい新しいレンコンになっていくので」
芽に近く、丸っぽい形のレンコンは柔らかく、葉に近い細長い部分は繊維が豊富で、すりおろしの料理などに向いているそうです。お薦めの料理を教えてもらいました。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「やっぱり『酢煮』ですかね、衝撃だったので」
「酢煮」は歌の中にも登場。
♪(RENCON SONG):
「初めてお邪魔した堀さん家 で食べた料理の『酢煮』が絶品 トロミ粘りなのにシャッキシャキ 止まらない箸と昔話」
小山さんの母・都代さんに酢煮を作ってもらいました。味付けに使うのは酢、砂糖、塩、薄口しょうゆなど。まずスライサーで薄く切り、水を振りかけます。
母・都代さん:
「少しお水に浸す、このお水がすごく粘りがまた後で出てくる。お水がこういうふうに…」
そのあと、油を敷いたフライパンで半透明になるまで弱火で炒めます。そこに…
母・都代さん:
「さっきのレンコンのうまみが出たこの水を入れます。こんなにとろみが…」
調味料を入れ、軽く炒めたら…
「綿内れんこんの酢煮」の完成です。
(記者リポート)
「しゃきしゃきとした食感の中に粘り気と、酢のさっぱりとした味付けで、とてもくせになりそうです」
長野市のそば店「そば八(や)」。店長の掘内さんは修業先で「綿内れんこん」を知り、以来、自分の店でも天ぷらにしています。
そば八・堀内和義店長:
「食感もいいですし、甘みも強いと思います」
客:
「おいしいです。あまりレンコン好きじゃなかったんですけど、ここで綿内れんこんの天ぷらを食べるようになってから好きになりました」
「綿内れんこん」などの伝統野菜の魅力を広めるため小山さんは毎週火曜、長野駅前で「マルシェ」を開いています。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「レンコン大きいのと小さいのあるんで、めちゃくちゃおいしいんで」
客:
「何で食べるのがいい?」
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「きんぴらとかもおいしいし、一番は酢煮って食べ方」
購入した客:
「(県産のレンコンは)聞いたことはあったけど、茨城とかのイメージなので驚き。地元の地域活性化になっていい」
♪(RENCON SONG):
「むかしむかしからつながれた この種には宿る土地の力……」
「綿内れんこん うなるやおやごはんのハチも レンコーン」
聞いていた人:
「キャッチーなメロディーだなって思って、サビ覚えちゃいました」
生産者が減り、「幻」と言われるまでになった「綿内れんこん」。小山さんは地域の宝として残したいと話しています。
野菜のカネマツ・小山修也さん:
「とにかく好きすぎちゃったというのもあるんですけど、この地域ならではの財産だと思うので、地域の財産を地域の人たちが知ることが一番」
♪(RENCON SONG):
「レンコーン 綿内れんこん 届けお届け日本全土 レンコーン レンコーン」