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“生粋のキャンパー”3代目の挑戦 老舗洋服店がアウトドア事業に進出 用具販売にキャンプ場も

老舗の洋服店がアウトドア事業に乗り出しました。キャンプ通の3代目が、品物を売るだけでなくキャンプ場まで開設し、新たなニーズをつかもうとしています。

1人、テントで肉を焼いて、作るローストビーフ。

ソロキャンパー:
「あ、ちょうどいいです」

こちらでは…

ソロキャンパー:
「この炎を見ているだけで癒やされます」

1月、プレオープンしたキャンプ場「アウトドアベースHAKUBA」です。

キャンプ場を運営・山田真人さん:
「自然の中で、余計なものがないキャンプを楽しんでいただける所かなと思っています」

運営する山田真人さん(48)が、アウトドア事業に携わるのはこれが初めてです。

松本市街地で婦人服を中心に取り扱う「ヤマダドレス」。おしゃれな店内にシックな服がそろいます。山田さんは創業70年を超える老舗の3代目です。

ヤマダドレスは昭和23年ごろ創業。祖母の久代さんと夫が創業した店はハイクラスの品ぞろえで信頼を得て、バブルのころには県内外で20店舗を構えるほどになりました。

山田さんは4年前に父の跡を継ぎましたが、消費者の指向は大きく変わっていました。

ヤマダドレス・山田真人社長:
「(かつては)流行のファッションがあったり、旅行に行くとかで新たに洋服を購入する機会が多かったんですけど、お洋服買うのは日常っていう感覚が強くなってきているのを感じた」

不景気に加え、いわゆるファストファッションやネット通販の拡大。路線変更を迫られ手頃な価格帯も扱うようにしましたが、売り上げは伸びませんでした。

そこで思い切って店を2つに集約し、他の店にはないインポートブランドを扱うなどあえて高価格帯の品ぞろえに戻しました。すると、これまでの客も戻り始め、売り上げはコロナ前の水準近くまで回復しました。

ヤマダドレス・山田真人社長:
「自分たちが本当にいいと思ってるもの、しっかりこだわり抜いたものを扱うようにしています」

いいものを自信を持って勧めるー。

山田さんは創業から変わらないスタイルを継承しつつ、新たな挑戦を始めました。

洋服店に長く勤める従業員:
「皆さん、ああいうお店がほしかったのかなと喜んでいます。スタッフも新しい人たちが入って、元気良くやっておりますので」

系列の婦人服店で、長く空き店舗になっていた場所に…。

2022年12月、「アウトドアベースMATSUMOTO」をオープンさせたのです。

山田真人社長:
「まずはテントがドーンと展示されています。デンマークの『ノルディスク』というブランドなんですけど、県内で唯一の認定店舗にさせていただいていて」

以前から構想していましたがコロナ禍のアウトドア人気をチャンスと捉え、開店を予定より2年ほど前倒ししました。

心がけているのは唯一無二の品ぞろえ。こちらのアウトドア用チェアはネット販売が基本で、店頭での販売は、世界でもここだけです。(グラウス アウトドアチェア 本体1万3600円 クッション7400円(税込))

この日はメーカーの社長が大阪から訪れていました。

アウトドア用品メーカー「グラウス」・ブライアン・チャン社長:
「もちろん(山田さんの)人柄。キャンプ場で出会って、いろいろ話して、(商品を)任せても全然大丈夫だなと」

なぜ、アウトドア事業に進出したのか、そして、なぜ独自のルートを築けるのか。それは、山田さん自身が生粋のキャンパーだからです。

山田真人社長:
「ぼくも2台使ってるんですけど、アウトドアショップやるに当たって扱いたいからとブライアンさんに無理をお願いして。やっぱりキャンパー同士のつながりは強いですね」

店では商品を試してもらうことを重視していて、まき割りも体験できます。

店員・鈴木茉里奈さん:
「お子さまでも割っていただける、まき割りグッズのニンジンの形をした『くさび』です。親の仇か、っていうくらい、たたいて」

記者も体験!

(記者リポート)
「すごい!力いらないですね、体験してよくわかりました」

訪れた客は…

大町市から:
「凝ったこだわりの商品が置いてある。店員さんの愛を感じます。これ使ってキャンプ行きたいなって、手に取っちゃいますね」

さらに…

山田真人社長:
「われわれが造っているキャンプ場、アウトドアベースHAKUBAという場所です」

商品の販売だけでは終わりたくないと白馬にキャンプ場を開設。(本格オープンは4月以降)

ソロキャンパー:
「お疲れさまです、乾杯」

現在はプレオープンですが既にSNSなどで話題になり、この日もソロキャンプの仲間3人が訪れていました。

埼玉から:
「雪の中でキャンプしたいなと思ってたので、人数が入れるところじゃないので、それが逆にいいのかな」

神奈川から:
「静かな感じで、のんびりお酒を飲むのが楽しみで来たんです」

今は雪で覆われていますが、ブナやナラの木に囲まれた空間に6つのテントサイトを用意しています。コンセプトは、「必要最低限」の設備で、自然を満喫できる場所。山田さんの理想でもあります。

山田真人社長:
「できるだけ自然を壊さないように気を使って造っていますので、ぎりぎりキャンプ場を造れるくらいの伐採しかしていないんですよ」

キャンプ動画のユーチューバーとして活躍している(登録者数約4万人)小宮山昌伸さんにも入社してもらいました。

ヤマダドレス・小宮山昌伸さん:
「市場のいろんなものを試して、実際に使ってみてというのを繰り返して、それを積み重ねた結果がこのキャンプ場や松本のお店だったりする。やっぱり、情熱は人一倍あるのかな」

設備には山田さんらしいこだわりが。まず、お湯が使える炊事場を整備。

ヤマダドレス・山田真人社長:
「(水だけだと)冬の洗い物って本当に地獄なんですよね」

トイレには電子番号キーが付いています。さらにシャワールームは女性専用も。

女性キャンパー:
「エアコン付いてる!きれい!ありがたい!」

男性キャンパー:
「女性はトイレきれいじゃないと来ないんだよね」

ヤマダドレス・山田真人社長:
「ぼく、もともと洋服屋なんです。女性物のお洋服をやらせていただいているので、これを造るにしても『女性』は重視しました」

婦人服の店とアウトドア事業。畑は違いますが、客の満足を第一に考える点は同じです。

ヤマダドレス・山田真人社長:
「お客さまがどんなことを求めているか、どんなものを欲しがっているか、どんなキャンプ場に来たがっているかということを切り分けて考えて、実践できるような経営をしていきたい。キャンプを好きな人が、自分をオフにして、日常から離れてリフレッシュするための場所になっていただければと思っています」
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