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山間地ほど難しい…中学校の部活動「地域移行」 課題は“指導者確保” 南佐久6町村で初の合同練習

「部活の地域移行」です。中学校の部活動を地域の団体などに移す取り組みが、2023年度から段階的にスタートします。少子化で学校単位での部活の維持が困難になっていること、働き過ぎと言われる教員の負担軽減が背景にあります。最大の課題は、地域の「受け皿」づくりです。長野県南佐久地域の取り組みを取材しました。

12月下旬の週末、南牧村の公民館で中学生が卓球の練習に励んでいました。参加したのは…

部員:
「(何中学校?)南牧中学校です」
「小海中学校です」

この日、行われたのは地域移行を見据えた初の「合同練習」。川上中の部員も参加予定でしたが、急きょ、体調不良で不参加となり2校での練習となりました。

地域指導者・藤原千春さん:
「こう伏せといて、こすり上げるのがドライブなんだけど、これをちょっと開く。そうするとネット越えてくるから」

指導者は藤原千春さん(51)。歯科助手の傍ら、15年以上、川上中卓球部の外部コーチをしていて、地域移行する3校の「地域指導者」となります。

地域指導者・藤原千春さん:
「(部員数が)川上は2人、南牧3人、小海が5人なので、3校合同でやっていきましょうということで、合同チームができました」

山間地では、部員だけでなく指導者も確保が困難です。そこで、南佐久6町村の4校が足並みをそろえて地域移行を進めています。

南牧中学校・神屋忍校長:
「どの活動だったら一緒に活動できそうなのか、どこの地区に地域の指導者がいるのか、4校の校長と市町村教育委員会の担当と相談を重ねて合同練習会を計画した」

地域指導者・藤原千春さん:
「きょう初めてクラブで合同練習ということになるけど、どうですか?」

部員:
「いつもと違う感じがして、不思議な感じがする」

初めての合同練習。生徒たちは緊張気味でしたが…

地域指導者・藤原千春さん:
「今度、課題練習にしようと思うんだけどさ、そしたら何にする?課題」

部員:
「ツッツキやりたい」

藤原さんが積極的に声掛けをしたことで次第にほぐれていきました。

小海中2年生:
「とても緊張しましたけど、楽しくできたのでよかった。(普段は)人数が少ないので、これから合同で人数が多くなっていくのがいいかな」

順調そうに見える卓球部の地域移行。しかし、藤原コーチには不安があると言います。

地域指導者・藤原千春さん:
「今は窓口担当の先生がいろいろ手続きやってくれる。教員は異動があるので、異動したときに、常にサポートとして入ってくれるのか。全部をやってくれとなるとやりきれないと思う」

現在は顧問の教師が「兼業届」を提出して「地域指導員」となり、学校と地域のつなぎ役をすることになっています。藤原さんのようなコーチの役割・責任は模索中です。さらに根本的な課題も…。

南牧村教育委員会・渡辺元子指導主事:
「今のところ合同で練習をしているのは4つ、男女バスケットボール、サッカー、卓球です。(他の部活の地域指導者探しは?)それはなかなか難しいです。まず人材が少ないです。あと、休日にやるということもあるので」

地域で盛んなスケートをはじめ、バレー、陸上、野球などは、指導者探しが難航。しばらくは教員に頼る状況が続く見通しです。

南牧村教育委員会・渡辺元子指導主事:
「地域指導者だけでやっていくのは難しい。中学とか小学校の先生方に兼職兼業をかけてもらいやっていくことが、ここ何年かは続く」

一律に導入することが難しい「地域移行」。国にもそうした指摘が届いており、ガイドラインを見直しました。2023年度からの3年間を「改革集中期間」としていたものを「改革推進期間」に変更し、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すと目標設定を緩和しました。
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