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女性店主が一念発起!山あいの実家をカフェに 『西山の味』と北アルプスの眺望も自慢

長野市中条の山あいにあるカフェです。中条を離れて暮らしていた女性が60代半ばで一念発起し、空き家になっていた実家をカフェに改修しました。「おぶっこ」などの西山の味を求める人でにぎわっています。

山の中腹にある長野市中条の鳥々見(ととみ)集落。現在残っている家は4軒で、そのうち1軒がカフェになっています。その名も「田舎カフェ」。

提供しているのは信州の郷土食「おやき」に、中条名物の「おぶっこ」。

客:
「カボチャ、ネギ。麺はこういう太麺でおいしい」

店の自慢は西山の味ともう一つ。北アルプスを見渡せるこの眺めです。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「あれが鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳。よかったね、きょうは行い良いわ」

店主は上原恵美子さん71歳です。ここは上原さんの実家。離れて暮らしていますが、6年前、カフェに改修しました。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「いいところに生まれ育ったんだなって、だんだんと思えてきて、年を重ねるごとに。アルプスがちょうど見える、これはすごいなって。他と比べてみて、うちは一番だって(笑)」

まだ真っ暗な朝4時。前の日にこねておいた生地でおやきの具を包む上原さん。1日150個から200個を一人で作っています。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「朝来て、一人でやってるとね、なんで毎日こんなことやってるんかなってふと思うんだけど、お客さん喜んで、『おいしい』って食べてくれるから、やってて良かったなって」

実は上原さん、毎朝、松代の自宅から車で通い、仕込みをしています。中条で暮らしていたのは高校を卒業し、就職するまでの間でした。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「高校までの間なんて、こんな山の中、嫌だなと思うぐらいのことで。みんな出ていくからね、田舎からこう出ていくから」

その後、両親が暮らしていましたが16年前に相次いで亡くなり、実家は空き家に。上原さんの兄がたまに来て、管理するようになりました。

その後、定年退職を迎えた上原さんは…。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「(退職して)2年ぐらい家にいたんだけど、なんかつまんなくて。その時に、『こんないいところを何かにしないともったいないな』と思って。お店でもやってみたいなと思って兄のところに行って、『店をやりたいから自由に使わせてもらっていい』って言ったら、『何考えてんだか、まあず』ってまで言われたんだけどね(笑)」

ふるさとの良さを実感するようになり、30年ほど前、おやき店を営んだ経験もあって、実家でカフェを営もうと決断。決めてからは一気呵成に進めました。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「変わらないの、私の考えは頑固だから。だから大工さんにどんどん(家の修理を)頼んで、お勝手直したり、ごったく(いらないもの)片付けたり、大変なことだった。思ったより10倍ぐらい大変(笑)」

オープンは2016年。この朝の仕込みも6年続けています。ふかしたおやきをフライパンに。焦げ目をつけて香ばしさを出したら、自慢のおやきの完成です。

具材は季節ごとに変わり、今はやさいミックスに野沢菜、あんこの3種類。おやきは道の駅中条でも販売されていて、1日100個売れるほどの人気の商品です。(1個 税込120円)

客:
「おいしいよ。やっぱり『地元の者』が作るからね、生地から」

午前11時。カフェがオープンしました。おやきも人気ですが、多くの客のお目当ては、キノコや野菜がたっぷり入ったみそ仕立ての汁で平打ちの麺を煮込んだ郷土料理「おぶっこ」です。(税込500円)

人気メニューはおぶっこにおやきが2個付いた「おぶっこセット」。(税込700円)

客:
「おいしいです。体が温まって、冬はこれからいいと思います」
「野菜もたくさん入ってるし、栄養価も良いと思う。とてもおいしいです」

にぎわう店内。人気の理由は食事だけではないようです。

客:
「お母さん、ざっくばらんな人で、気軽に話しかけてくれたり、悠々と過ごさせてもらってる」
「居心地が良くて、つい長居してしまう」

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「皆さんが来ていただいて、『良かった』って言ってくださるので、逆にお客さんから元気いただいちゃってるから申し訳ないなといつも思うんですよ。お客さんにパワーいただいてるから」

店を始めて7年目。市街地からの客も増えていますが、これまで一番うれしかったのは地元の人からの声でした。

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「お年寄りの方が『両親、喜んでるわ』って言ってくれるんですよ。普通はだめにしちゃうのに、使っていれば家が傷まないでしょ。それだから、『両親、喜んでるわ』って。その言葉が本当うれしいですよ。何より、本当にご褒美。(カフェを)始めたからには、応援してくださる地域の方も大勢いるので、少しでも長く応えられるように頑張っていきたいなと思います」

雪が積もると、上原さんが通うのも、客が来店するのも難しくなるため、「田舎カフェ」は冬期休業へ。12月上旬まで上原さんの忙しい日々が続きます。

客:
「お世話さまでした。また、近いうちに来ます」

田舎カフェ・上原恵美子さん(71):
「近いうちにお待ちしてますね」

営業時間午前11時~午後3時(定休日:月曜)
冬期休業12月11日~翌年3月中旬ごろまで
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