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「仮」の作業所で製作続ける木工職人 再建へ…「喜ぶ作品作ることが恩返し」 台風19号災害から3年

台風19号災害からきょう10月12日で3年が経ちました。長野県佐久穂町も大きな被害が出ました。木工職人の男性は作業所を失い、現在も知人の会社に身を寄せ、製作を続けています。少しずつ作業所の復旧も進めていて「みんなが喜ぶ作品を作りたい」と前を向いています。

作業室内に漂う木の香り。佐久穂町の「丸山木工」。仏具やブラシの柄を製造・販売しています。丸山泰広さん(51)。職人歴は30年です。

アナウンサー:
「今は何を作っていた?」

丸山木工・丸山泰広さん:
「仏具セットの中の花立を作っていた。ここに花を挿す。あとはご飯を乗せる入れ物やろうそく立てです」

高速で回転させた木材に刃物をあてて削る全国でも珍しい「木工ろくろ」という技法で作っています。

丸山木工・丸山泰広さん:
「丸太を輪切りにして切るので、真ん中に芯が残る作り方をしています。その方が側面に木目がきれいに出るので」

黙々と製作に励む丸山さん。ただ、ここは、別の会社の空きスペースを間借りした「仮」の作業所です。

2019年10月12日。台風19号の影響で佐久穂町では、千曲川や支流の抜井川などが氾濫。浸水や土砂崩れなど大きな被害が出ました。木工所があった高野町地区も堤防が決壊。濁流に襲われました。

護岸が削られて木工所は半壊。一部の機械も流されました。

(アナウンサー:当時)
「この柱、これ本当はまっすぐ立っていたものなんです。それが、下がえぐられたことによって倒れてしまっています。この奥も今、木や道具などが散乱している状態なんですが、手が付けられない状態だということです」

途方に暮れていた丸山さんを救ったのは、知人で木製品などを製造販売する由井正宏さん(45)です。

空きスペースの提供を申し出てくれたのです。丸山さんは被害を免れた機械を搬入し製作を再開することができました。

大岳キャビネット・由井正宏社長(当時):
「実は会社が岩手県にもある。(2016年に)台風10号が来た時に私の会社も被災した部分があり、少しでも協力させてもらいたいと貸しました」

あれから3年。丸山さんは、今も由井さんの会社で製作を続けています。

丸山木工・丸山泰広さん:
「あれからまた新しい仕事も増えたので、なんとかやっていこうという気持ちになった」

大岳キャビネット・由井正宏社長:
「頑張っている姿を目の前で、同じ敷地内で見させてもらっていて、私自身も励みになる」

一方で、木工所の再建にも取り組んでいます。

アナウンサー:
「すごい!機械も入っているんですね」

丸山木工・丸山泰広さん:
「はい、入れました」

アナウンサー:
「3年前とは違って、すごくきれいになっていますね」

崩れた壁は修復され、流された機械も川の中から見つけました。

建物の底はコンクリートで補強―

外の千曲川の護岸も整備された…

完全復旧まではまだ時間がかかる見通しですが、木工所を復旧させ良い作品を作ることが恩返しだと考えています。

丸山木工・丸山泰広さん:
「ようやくここまで戻ってきた。いろいろな方に助けてもらって、仕事も回してもらって。とにかく一生懸命やってきたので、あっという間だった。これまでと同じように、お客さんが喜んでくれるような作品を作っていきたい」
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