
長野県木曽地方南部の郷土菓子「からすみ」
桃の節句に長野県木曽地方南部で食べられてきた郷土菓子があります。その名も「からすみ」。ボラの卵巣を加工した「からすみ」と同じ名前です。なぜその名前になったのか?食文化を残そうと先日開かれた講習会を取材しました。
米粉の生地をこねて、形を整え、蒸したら、完成!
「桃の節句」に木曽地方南部や岐阜県東部で食べられてきた郷土菓子「からすみ」です。
先日、木曽町で開かれたからすみ作りの講習会。最近は家庭で作る人が少なくなってきていて、地域の食文化を残そうと活動している木曽地方の団体が企画し、10人が参加しました。
木曽町内から(70代):
「親戚の家で初めて食べたとき、たぶん5歳くらい。おいしくてすごく記憶にある」
さて、お菓子の「からすみ」。ボラの卵巣を加工した珍味の「からすみ」と同じ名前です。
なぜ、この名前になったのでしょうか?
元町職員で郷土料理に詳しい都竹亜耶さんに聞きました。
郷土料理に詳しい・都竹亜耶さん:
「中津川とか恵那とか、あちらと接している、南木曽・大桑の方が盛ん。あちらから入ってきて、(珍味の)『からすみ』のように、子孫繁栄・子宝に恵まれるという願いを込めて卵の『からすみ』に模した」
子宝の象徴とされるボラの卵巣を加工した「からすみ」。昔は信州などではなかなか手に入らず、江戸時代に地元の食材で「からすみ」に似せて作ったのが菓子の「からすみ」の始まりとされています。
そして、特徴的なこの形は「富士山」を模しています。「日本一の子どもが授かる」「日本一幸せになれるように」などの願いも込められているということです。
以前は桃の節句に合わせて各家庭で作られていた「からすみ」。作り方は比較的簡単です。
砂糖と塩を水に溶かした鍋の中に米粉を入れてよくかき混ぜ、一度、15分ほど蒸します。
蒸し上がったら生地につやが出るまで素手でこねていきます。
講師・林ちかゑさん:
「熱いうちに早めにこねないと。冷めると粘りがなくなる」
参加者:
「大変、力が要ります」
その後、富士山の形をした専用の型で形を整え、再び蒸します。
15分から20分ほど蒸せば完成です。
この日は、生地に「ゆかり」や「よもぎ」「桜」などを入れ、5種類の「からすみ」を作りました。
町内から(70代):
「甘さは控えめで、もちっとしていておいしい」
町内から(40代):
「今まで買って食べるしかなかったが、これからは自分で作って、子どもたちにも作ってあげたいな」
講師・林ちかゑさん:
「木曽の昔からの郷土食だから、若い人に伝えていくのが役目。子どもが食べないと木曽の郷土食が衰えちゃうから。『あんな時期にあれを食べたな』という思いを伝えていきたい」

