
2020年4月、34歳で自殺した吉田午郎さん
過労やストレスが原因で自殺したとして、2022年「労災」が認められた男性の両親が勤務していた長野県飯田市の企業を相手に、安全配慮義務違反があったと損害賠償を求める訴訟の第一回口頭弁論が開かれ、企業側は争う姿勢を示しました。

吉田午郎さんの写真を手に地裁松本支部に入る
2020年4月、34歳で自殺した吉田午郎さん。
提訴しているのは吉田さんの両親で、31日、写真を手に地裁松本支部に入りました。

飯田市の多摩川精機
吉田さんは当時、飯田市の精密機器メーカー・多摩川精機に勤務。訴状などによりますと「過重な労働による疲労や強いストレスにより自殺に至ったもので会社は安全配慮義務を怠った責任がある」とし、およそ7000万円の損害賠償を求めています。
自殺を巡っては両親が2021年に飯田労働基準監督署に「労災補償」を申請。労基署は仕事内容の大きな変化や仕事量の増加、上司の叱責などが重なったことが原因として、2022年10月、「労災」認定しています。
その後、両親は書面で安全配慮義務違反に当たるとして損害賠償と謝罪を多摩川精機に求めましたが、2023年7月、「労災認定は重く受け止めるが、安全配慮義務違反については認識が異なる」と回答があったということです。
31日の第一回口頭弁論でも多摩川精機は答弁書で請求の棄却を求め、争う姿勢を示しました。取材に対しては「係争中のためコメントは差し控える」としています。

吉田さんの母・恵美子さん
裁判終了後、吉田さんの両親は会見を開きました。
吉田さんの母・恵美子さん:
「『申し訳なかった』と言って、会社のトップがお線香をあげに来てくれる日を待っている。社員に対する安全配慮が欠落していたんじゃないか。そこをどのように思っているのか、明らかにしてほしい」
次の裁判は4月8日に開かれます。