
「ニットウ」開発の分光カメラ用レンズ
信州の技術が月面着陸を支えました。日本初の月面着陸に成功したJAXAの無人探査機「SLIM」。実は搭載されたカメラのレンズは諏訪市のメーカーが手掛けたもの。開発メンバーは「ほっとした」などと安堵と喜びを語りました。
着陸見届けて…安堵

「ニットウ」の関根一秀副本部長(プロジェクトリーダー)
20日未明、月面に着陸した無人探査機「SLIM」。日本初、世界では5カ国目の快挙です。
光学機器メーカー「ニットウ」オプト製造本部
関根一秀副本部長(プロジェクトリーダー):
「非常に心配しながら不安な気持ちでいたんですけど、ほっとしたというか、嬉しかったというか」
安堵と喜びを語る諏訪市の光学機器メーカー「ニットウ」の技術者達。搭載されたカメラの「レンズ」の開発・設計を担い、着陸をJAXAのパブリックビューイングで見守りました。
レンズ開発に試行錯誤

「ニットウ」の航法カメラ用レンズ
レンズは2種類あり、一つはこちら。
関根一秀副本部長(プロジェクトリーダー):
「こんな大きさなんですけどね。非常に小さい。無人探査機なので、小型、軽量と言われておりますので、できるだけ小さく」
わずか40グラムの2つの「航法カメラ用レンズ」は、着陸する際の情報を集める「目」の役割を果たします。無重力や温度差が100度になる環境に耐えられるよう、試作は苦労の連続でした。
関根一秀副本部長(プロジェクトリーダー):
「試作機を作って実験をしたり、トライ&エラーですね。それを繰り返して、宇宙環境に耐えられるレンズに作り上げたと」

分光カメラ用レンズ
もう一つは「分光カメラ用レンズ」。着陸後、月の表面を観測します。
着陸後、電池が切れるトラブルがありましたが、データは取得できており、今後の解析が待たれます。
「はやぶさ」に次いで2度目の宇宙事業

取材に応じる「ニットウ」の開発メンバー
「ニットウ」が宇宙事業に携わるは、2014年の「はやぶさ」に次いで2度目。今後も技術力を宇宙事業に生かしたいとしています。
藤松拓也さん(機構設計担当):
「手がけた製品が月面にあるというのは不思議なんですけど、成功を収めたことを嬉しく思います」
大江和広さん(光学設計担当):
「会社として一からできたことが自信にもなりますし、こういう経験を次の若い世代に伝えていければ」
JAXAは近く「SLIM」の成果を発表する予定です。