衝撃の動画がSNSに公開され、話題になっています。それは、サバの内臓の表面などに寄生した200匹以上の「アニサキス」。撮影したのは宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野の教員らで、「アニサキス」について正しい知識を身につけてほしいと投稿しました。アニサキスによる食中毒の原因となりやすいのはサバやアジ、サンマなどの刺し身です。食中毒を防ぐポイントを聞きました。
■サバに200匹以上の寄生虫「アニサキス」
脂がのったサバ。
今が旬と言われています。
そのサバを使った宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野の実習。
腹を開いたサバに専用の「ブラックライト」をあてると、細長い寄生虫が無数に浮かびあがってきました。
その正体は寄生虫「アニサキス」。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「X(旧ツイッター)に投稿したサバには200匹ほど寄生していました。内臓表面およびその周囲に多く見られました」
■ほとんどが内臓に…時間が経つと身に移動も
サバに寄生していた幼虫は体長約2センチ、体幅0.5ミリ程度。
内臓表面に渦巻いている個体も確認されたということです。
ちなみに、イルカやクジラの胃に寄生している成虫は10センチほどのものもあるといいます。
田中助教によりますと、多いものでは500匹以上のアニサキスの幼虫が寄生しているサバもあり、ほとんどが内臓にいますが、時間が経つと身(筋肉)に移動してくるものもあるといいます。
実習の様子をXに投稿するとたちまち話題に。再生回数は1840万回以上にのぼっています。
田中助教はアニサキスについて正しい知識を身につけてほしいと、この衝撃的な動画を投稿したといいます。
■全国的にアニサキス食中毒が増加傾向
全国的にアニサキスによる食中毒は増加傾向です。厚生労働省によりますと、2019年は336人、2020年は396人、2021年は354人、2022年は578人の患者が報告されました。
田中助教によりますと、この数は食品衛生法に基づいて指定された医療機関から報告されたもので、実際には2000から3000症例のアニサキス食中毒が発生しているとみられるということです。
長野県健康福祉部食品・生活衛生課によりますと、県内でも毎年、報告があり、2023年はこれまでに1件確認されました。原因となった食品はしめサバと推定されています。
■胃の中をかみちぎられたような
長野県によりますと、主な原因食品はサバ、アジ、イカ、サケ、タイ、スズキ、カツオ、イワシ等の刺身です。
潜伏期間は早いもので1時間、遅いもので36時間ですが、約7割は8時間以内に発症するということです。
症状は激しい胃痛や吐き気、嘔吐などです。
実は筆者も数年前にアニサキス食中毒を経験しました。原因食品はイワシの刺身とみられ、食べてから5~6時間で症状が…。数秒ごとに胃の中を噛みちぎられるような感覚の激痛が走り、のたうちまわった苦い記憶がよみがえります。
■予防法 加熱・冷凍
では、どうすればアニサキスによる食中毒を防げるのでしょうか。田中助教に聞きました。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「丸ごと1匹、内臓を処理していない状態からさばく場合は、新鮮なうちに可能な限り速やかに内臓を除去してください。時間が経つと内臓から筋肉に移るからです」
「アニサキスは60℃で1分以上の加熱(70℃以上であれば瞬時)か、-20℃で24時間以上の冷凍で死滅します。家庭用の冷凍庫なら-18℃くらいですから48時間以上かかります」
「刺身など加熱していない調理法のときは、調理中や食べる前によく視て確認してください。アニサキスライト専用のブラックライトがあれば役に立つかもしれません」
■酢や塩、醤油に漬けると?
ただ、2023年に長野県で報告された原因食品は「しめサバ」と推定されています。(前述)
酢でしめても死滅しないのでしょうか。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「アニサキスは酢や塩、醤油に漬けても死滅しません。わさびなどでも同様です」
■よく噛むとちぎれる?
よく噛むとちぎれると聞いたことがありますが―。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「アニサキスの体表は硬く、また虫自体も細いので咀嚼によりちぎれて死滅することはまず無いと思われます」
市場関係者によりますと、国産のサバの代表「マサバ」は、秋から冬にかけて脂がのり、美味しいといいます。
田中助教は、サバを食べる機会が増えるとアニサキス食中毒が発生する可能性も増えるとして、注意を呼びかけています。
(画像 提供:サバに200匹以上の寄生虫「アニサキス」 提供:宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野)
■サバに200匹以上の寄生虫「アニサキス」
脂がのったサバ。
今が旬と言われています。
そのサバを使った宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野の実習。
腹を開いたサバに専用の「ブラックライト」をあてると、細長い寄生虫が無数に浮かびあがってきました。
その正体は寄生虫「アニサキス」。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「X(旧ツイッター)に投稿したサバには200匹ほど寄生していました。内臓表面およびその周囲に多く見られました」
■ほとんどが内臓に…時間が経つと身に移動も
サバに寄生していた幼虫は体長約2センチ、体幅0.5ミリ程度。
内臓表面に渦巻いている個体も確認されたということです。
ちなみに、イルカやクジラの胃に寄生している成虫は10センチほどのものもあるといいます。
田中助教によりますと、多いものでは500匹以上のアニサキスの幼虫が寄生しているサバもあり、ほとんどが内臓にいますが、時間が経つと身(筋肉)に移動してくるものもあるといいます。
実習の様子をXに投稿するとたちまち話題に。再生回数は1840万回以上にのぼっています。
田中助教はアニサキスについて正しい知識を身につけてほしいと、この衝撃的な動画を投稿したといいます。
■全国的にアニサキス食中毒が増加傾向
全国的にアニサキスによる食中毒は増加傾向です。厚生労働省によりますと、2019年は336人、2020年は396人、2021年は354人、2022年は578人の患者が報告されました。
田中助教によりますと、この数は食品衛生法に基づいて指定された医療機関から報告されたもので、実際には2000から3000症例のアニサキス食中毒が発生しているとみられるということです。
長野県健康福祉部食品・生活衛生課によりますと、県内でも毎年、報告があり、2023年はこれまでに1件確認されました。原因となった食品はしめサバと推定されています。
■胃の中をかみちぎられたような
長野県によりますと、主な原因食品はサバ、アジ、イカ、サケ、タイ、スズキ、カツオ、イワシ等の刺身です。
潜伏期間は早いもので1時間、遅いもので36時間ですが、約7割は8時間以内に発症するということです。
症状は激しい胃痛や吐き気、嘔吐などです。
実は筆者も数年前にアニサキス食中毒を経験しました。原因食品はイワシの刺身とみられ、食べてから5~6時間で症状が…。数秒ごとに胃の中を噛みちぎられるような感覚の激痛が走り、のたうちまわった苦い記憶がよみがえります。
■予防法 加熱・冷凍
では、どうすればアニサキスによる食中毒を防げるのでしょうか。田中助教に聞きました。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「丸ごと1匹、内臓を処理していない状態からさばく場合は、新鮮なうちに可能な限り速やかに内臓を除去してください。時間が経つと内臓から筋肉に移るからです」
「アニサキスは60℃で1分以上の加熱(70℃以上であれば瞬時)か、-20℃で24時間以上の冷凍で死滅します。家庭用の冷凍庫なら-18℃くらいですから48時間以上かかります」
「刺身など加熱していない調理法のときは、調理中や食べる前によく視て確認してください。アニサキスライト専用のブラックライトがあれば役に立つかもしれません」
■酢や塩、醤油に漬けると?
ただ、2023年に長野県で報告された原因食品は「しめサバ」と推定されています。(前述)
酢でしめても死滅しないのでしょうか。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「アニサキスは酢や塩、醤油に漬けても死滅しません。わさびなどでも同様です」
■よく噛むとちぎれる?
よく噛むとちぎれると聞いたことがありますが―。
宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野・田中美緒助教:
「アニサキスの体表は硬く、また虫自体も細いので咀嚼によりちぎれて死滅することはまず無いと思われます」
市場関係者によりますと、国産のサバの代表「マサバ」は、秋から冬にかけて脂がのり、美味しいといいます。
田中助教は、サバを食べる機会が増えるとアニサキス食中毒が発生する可能性も増えるとして、注意を呼びかけています。
(画像 提供:サバに200匹以上の寄生虫「アニサキス」 提供:宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野)