
特集は頭痛治療の「最前線」。信大付属病院が2022年に開設した「頭痛外来」には多くの患者が詰めかけ、受診は3カ月待ちだという。一方、医師によると、「頭痛は病気ではない」「痛み止めで我慢する」など、受診しない「頭痛持ち」の患者は多いという。県内でも信大付属病院のほか、脳神経外科など「頭痛専門医」がいる医療機関では新薬の処方が可能で、「頭痛は治せる」と思って受診してほしいとしている。
40代(10年前から頭痛あり):
「疲れた時とかそういう時。片頭痛なのでもう慣れてる、(頭痛薬で)自分で解決する」
40代(子どもの頃から頭痛あり):
「肩こりとかからもきてると思うんですけど、セルフケアで筋肉ほぐしたり、首のストレッチしたり、病院に行くレベルなのかちょっとわからなくて」
高校生(小学生の頃から頭痛あり):
「ひどい時もあって、雨の日・天気が悪い日とか、最初はちょっとしか痛くないんですけど、だんだん痛くなって結局、薬を飲まなきゃいけない」
長く悩んでいることもあり我慢したり、頭痛薬に頼ったりしてやり過ごす人が多いようです。
富島さん(10代から頭痛あり):
「私の場合はズキンズキンして片方のこめかみが、動くともうどんどん痛くなってしまうし、目を開けるのもつらい」
南信地方に住む富島さん(52)。10代の頃から片頭痛に悩まされてきました。
症状は年齢を重ねるにつれ、ひどくなっていったと言います。
富島さん(10代から頭痛あり):
「頭痛を気にしないで生活できるというのは、今の私にとっては本当に『希望』ですよね」
そこで、今年3月から富島さんが通っているのが、信州大学附属病院の「頭痛外来」です。
診療にあたるのは脳神経外科・脳神経内科の「頭痛専門医」。県内の総合病院で初めて開設されてから、5月で1年がたちました。
信大付属病院「頭痛外来」・関島良樹医師:
「私たちが予想した以上の反響がありまして、2022年のGW明け5月に開設したんですが、あっという間に半年先まで予約が埋まってしまいました。予想を超えたニーズ、頭痛に困っている患者さんがいたんだなと改めて感じました」
予約による診察を週4日から5日に増やしましたが、現在も3カ月待ち。この1年で300人の患者を診ています。
患者のおよそ8割は、ズキズキと脈打つような痛みの「片頭痛」。全国でおよそ800万人が悩んでいるとされています。
そして1割は、肩こりや筋肉のこわばりで起こる「緊張型頭痛」。
残り1割は、他の脳の病気などに起因する痛みです。
最も多い「片頭痛」は「雨の降り始めや台風などの低気圧の影響」「過度なストレス」「女性の月経」などが要因とされています。
体質として遺伝するともいわれていますが、はっきり分かっていません。
患者は20代から40代の働き盛りの世代が多く、3分の2が女性です。
信大付属病院「頭痛外来」・関島良樹医師:
「『頭痛くらい…』と思ってらっしゃる方がとても多いんじゃないかと思います。それでかなり我慢して仕事をされている方が多いと思います。片頭痛の方は他の頭痛と比べて生活への支障が非常に大きくて、経済的損失も何千億とか何兆円という単位で、国内の影響が及ぼされているという統計もあります」
富島さんは、20代の頃から寝込んでしまうほどの痛みに襲われ、会社を休んだり早退したりする日も多かったということです。
35歳を過ぎるとさらに悪化。家事や育児、仕事をするのに鎮痛薬が欠かせなくなりました。
かかりつけ医に相談したり、整体や鍼(はり)も試したりしましたが、改善しませんでした。
その富島さんが信大病院の頭痛外来に希望を見出したのは、ある新薬の存在がありました。
看護師:
「はい打ちますよ」
月1回の皮下注射で、富島さんはこれで3回目。
富島さん(10代から頭痛あり):
「結構痛いです」
注射したのは、2年前に登場した「抗CGRP抗体薬」。痛みの元をブロックする薬です。
片頭痛の原因は、何らかの刺激で三叉神経から放出される「CGRP」という物質によって脳の血管に拡張や炎症が起きるためだとされています。
新薬は、CGRPを「抗体」でブロックし痛みを防ぐというもの。保険が適用されても1回1万3000円程度と高額ですが、ほとんどの人の症状が改善したといいます。
実は、富島さんの身近に改善した人がいました。
富島さん(52):
「娘がやりだして4カ月くらいから効きだしていたので、今はほぼ薬に頼らないでいられるようになってきたので,それを見て私も…」
頭痛に悩んでいたのは、富島さんの三女。中学3年になるとほぼ毎日、頭痛が起こり、学校を休みがちになりました。
受験や高校生活に不安を覚えた親子は2022年11月、信大病院の「頭痛外来」へ。
初めは生活指導などで様子を見ますが、症状が重いと判断され2022年12月から新薬による治療を開始。
4回の注射で今年3月以降、ほとんど痛みがなくなったと言います。
富島さん(52):
「(娘は)部活とか塾とか、友達と遊びに行くのがあまりできなかったので、中学の時は。(高校に進学して)今はあれもやりたい、これもやりたいという感じで挑戦しています」
富島さんは娘を見て安堵(あんど)するとともに、自身も治療を始めることにしたのです。
富島さん(10代から頭痛あり):
「頭痛がない日ができる、1日できるだけでも今はうれしいというかホッとするので、頭痛を気にしないで過ごせるというのは、そういう日が来るとしたら、本当に…夢のよう」
関島医師によると「頭痛は病気ではない」「痛み止めで我慢する」など、受診しない「頭痛持ち」の患者は多いといいます。
しかし、信大付属病院のほか、県内の脳神経外科など「頭痛専門医」がいる医療機関では新薬の処方が可能で、「頭痛は治せる」と思って受診してほしいとしています。
信大付属病院「頭痛外来」・関島良樹医師:
「本当に人生が変わった、っていうんですかね。そういった感想を言う方が多いです。頭痛が人生の一番の悩みだったという方が、ほとんどなくなって喜んでいる方が多いです。頭痛を我慢して生活されている方はぜひ、信州大学に限りませんけど、頭痛外来受診されて、専門的な治療を受けると必ず頭痛はよくなると思います」
40代(10年前から頭痛あり):
「疲れた時とかそういう時。片頭痛なのでもう慣れてる、(頭痛薬で)自分で解決する」
40代(子どもの頃から頭痛あり):
「肩こりとかからもきてると思うんですけど、セルフケアで筋肉ほぐしたり、首のストレッチしたり、病院に行くレベルなのかちょっとわからなくて」
高校生(小学生の頃から頭痛あり):
「ひどい時もあって、雨の日・天気が悪い日とか、最初はちょっとしか痛くないんですけど、だんだん痛くなって結局、薬を飲まなきゃいけない」
長く悩んでいることもあり我慢したり、頭痛薬に頼ったりしてやり過ごす人が多いようです。
富島さん(10代から頭痛あり):
「私の場合はズキンズキンして片方のこめかみが、動くともうどんどん痛くなってしまうし、目を開けるのもつらい」
南信地方に住む富島さん(52)。10代の頃から片頭痛に悩まされてきました。
症状は年齢を重ねるにつれ、ひどくなっていったと言います。
富島さん(10代から頭痛あり):
「頭痛を気にしないで生活できるというのは、今の私にとっては本当に『希望』ですよね」
そこで、今年3月から富島さんが通っているのが、信州大学附属病院の「頭痛外来」です。
診療にあたるのは脳神経外科・脳神経内科の「頭痛専門医」。県内の総合病院で初めて開設されてから、5月で1年がたちました。
信大付属病院「頭痛外来」・関島良樹医師:
「私たちが予想した以上の反響がありまして、2022年のGW明け5月に開設したんですが、あっという間に半年先まで予約が埋まってしまいました。予想を超えたニーズ、頭痛に困っている患者さんがいたんだなと改めて感じました」
予約による診察を週4日から5日に増やしましたが、現在も3カ月待ち。この1年で300人の患者を診ています。
患者のおよそ8割は、ズキズキと脈打つような痛みの「片頭痛」。全国でおよそ800万人が悩んでいるとされています。
そして1割は、肩こりや筋肉のこわばりで起こる「緊張型頭痛」。
残り1割は、他の脳の病気などに起因する痛みです。
最も多い「片頭痛」は「雨の降り始めや台風などの低気圧の影響」「過度なストレス」「女性の月経」などが要因とされています。
体質として遺伝するともいわれていますが、はっきり分かっていません。
患者は20代から40代の働き盛りの世代が多く、3分の2が女性です。
信大付属病院「頭痛外来」・関島良樹医師:
「『頭痛くらい…』と思ってらっしゃる方がとても多いんじゃないかと思います。それでかなり我慢して仕事をされている方が多いと思います。片頭痛の方は他の頭痛と比べて生活への支障が非常に大きくて、経済的損失も何千億とか何兆円という単位で、国内の影響が及ぼされているという統計もあります」
富島さんは、20代の頃から寝込んでしまうほどの痛みに襲われ、会社を休んだり早退したりする日も多かったということです。
35歳を過ぎるとさらに悪化。家事や育児、仕事をするのに鎮痛薬が欠かせなくなりました。
かかりつけ医に相談したり、整体や鍼(はり)も試したりしましたが、改善しませんでした。
その富島さんが信大病院の頭痛外来に希望を見出したのは、ある新薬の存在がありました。
看護師:
「はい打ちますよ」
月1回の皮下注射で、富島さんはこれで3回目。
富島さん(10代から頭痛あり):
「結構痛いです」
注射したのは、2年前に登場した「抗CGRP抗体薬」。痛みの元をブロックする薬です。
片頭痛の原因は、何らかの刺激で三叉神経から放出される「CGRP」という物質によって脳の血管に拡張や炎症が起きるためだとされています。
新薬は、CGRPを「抗体」でブロックし痛みを防ぐというもの。保険が適用されても1回1万3000円程度と高額ですが、ほとんどの人の症状が改善したといいます。
実は、富島さんの身近に改善した人がいました。
富島さん(52):
「娘がやりだして4カ月くらいから効きだしていたので、今はほぼ薬に頼らないでいられるようになってきたので,それを見て私も…」
頭痛に悩んでいたのは、富島さんの三女。中学3年になるとほぼ毎日、頭痛が起こり、学校を休みがちになりました。
受験や高校生活に不安を覚えた親子は2022年11月、信大病院の「頭痛外来」へ。
初めは生活指導などで様子を見ますが、症状が重いと判断され2022年12月から新薬による治療を開始。
4回の注射で今年3月以降、ほとんど痛みがなくなったと言います。
富島さん(52):
「(娘は)部活とか塾とか、友達と遊びに行くのがあまりできなかったので、中学の時は。(高校に進学して)今はあれもやりたい、これもやりたいという感じで挑戦しています」
富島さんは娘を見て安堵(あんど)するとともに、自身も治療を始めることにしたのです。
富島さん(10代から頭痛あり):
「頭痛がない日ができる、1日できるだけでも今はうれしいというかホッとするので、頭痛を気にしないで過ごせるというのは、そういう日が来るとしたら、本当に…夢のよう」
関島医師によると「頭痛は病気ではない」「痛み止めで我慢する」など、受診しない「頭痛持ち」の患者は多いといいます。
しかし、信大付属病院のほか、県内の脳神経外科など「頭痛専門医」がいる医療機関では新薬の処方が可能で、「頭痛は治せる」と思って受診してほしいとしています。
信大付属病院「頭痛外来」・関島良樹医師:
「本当に人生が変わった、っていうんですかね。そういった感想を言う方が多いです。頭痛が人生の一番の悩みだったという方が、ほとんどなくなって喜んでいる方が多いです。頭痛を我慢して生活されている方はぜひ、信州大学に限りませんけど、頭痛外来受診されて、専門的な治療を受けると必ず頭痛はよくなると思います」