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サバ缶品薄…消費量全国トップクラス“熱愛”飯山市民は困惑 いつまで続く?「たけのこ汁」の季節は

特集はサバ缶。長野県飯山市では多くの家庭が常に買い置きするほど市民に愛されているが今、店は品薄状態。市民からは困惑に加え、やがて訪れる「たけのこ汁の季節」はどうなるのかと、心配する声も上がっている。

サバ缶を愛してやまない地域がある、飯山市だ。

ネマガリダケとサバがたっぷり入った「たけのこ汁」。大根の煮物にも欠かせない。サバカレーは、もはや家庭料理の定番。

海のない信州では、昔から水産物の缶詰が重宝されてきた。特に雪に閉ざされることの多かった飯山では、冬のたんぱく源となり今でも消費量は全国トップクラスといわれている。

中でもサバの水煮缶は「調味料感覚」で各家庭でストックするほど。

しかし、今、そのストックが…。

市民(60代):
「きのう使っちゃったから(ストックが)4つしかないですけど、ないのはちょっと寂しいので困りますね」

こちらの家では4個だけ。心もとない状況だ。

市内のスーパーに行ってみると…。

(記者リポート)
「こちらのスーパーの入り口には、サバ缶の購入数を制限する張り紙が出ています」

A・コープみゆき店では6種類の水煮缶を扱ってきたが、5種類が品切れ。2月中旬ごろから品薄状態が続いている。

さらに一部メーカーの商品が4月から、11%から23%値上げされた。2月から買いだめの動きがあったことから、購入を一家族2缶までに制限したという。

A・コープみゆき店・鈴木毅彦店長:
「記録的なサバの不漁も受けまして、だいぶ品薄になってきている。今までこのような品薄はあまりなかったので、初めての状況」

品薄の大きな要因は不漁だ。去年のサバ類の水揚げ量は23万5000トン余り。2018年の半分以下だ。

漁場となってきた海域の水温が高くなり、冷たい海水を好むサバが寄りつかなくなったとみられている。

不漁を受けて一部のメーカーは2月から、サバ缶の出荷を休止。5月に再開するまで品薄は続くとみられる。

A・コープみゆき店・鈴木毅彦店長:
「弊社のオリジナル商品のサバ缶に関しては、だいたい6月くらいまでは在庫を確保しているが、それ以降はサバが取れることを願うしかない状況」

4月3日、飯山市―。

坪根保子さん(75):
「(ストックは)ここにあるんだけどこれだけしかない、この間使ったから」

市内の坪根保子さんの家。ストックは3個だった。

坪根保子さん:
「少ないよ、やっぱり6個くらいなくちゃね。今3個しかないから、また(店に)行った時に追加して買っときます」

孫の鈴さん(6)は、サバカレーが好きだ。

孫・鈴さん(6):
「皮がおいしい。ちょっとしょっぱくて、おいしい」

カレーに炒めものと、サバ缶はなくてはならないもの。

もし品切れになったら…。

坪根保子さん:
「品切れになったら、イワシでも使って食べるとか、違う品物で代用して」

こちらは一人暮らしの丸登久江さん(91)。

丸登久江さん(91):
「サバ缶、ここにあるよ」

取材カメラマン:
「残りは1缶だけですか?」

丸登久江さん:
「今のところね、きのうも使ったとこだよ」

丸登さんは普段4缶はストックしていて、週2回は食べていると言う。

丸登久江さん:
「今のうちに買っておかないといけない、これからタケノコ出るもの」

初夏、北信濃はネマガリダケのシーズン。定番の「たけのこ汁」にはサバ缶が欠かせないため、早くも心配する声が上がっている。

市民(50代):
「(サバ缶は)この辺じゃ欠かせない食材です。たけのこ汁に入れたり、定番ですね。常備していないと不安です。(台所に)10缶ぐらいはあります」

市民(70代):
「(スーパーは)品薄だよね。いつも山になってるけど、3分の1とか減ってました。なくなれば困るもんね…」

サバ缶を使った料理を提供する業者も品薄に困惑している。

研いだコメに、しょうゆとだし、さらにサバの水煮缶を投入して炊き上げた「さばごはん」。「ぜにがめ堂」が、週末を中心に飯山駅構内で販売している人気商品だ。

コメ4合にサバ缶1缶の割合で、1日に使うのは6缶ほど。

これまでは近くのスーパーで仕入れてきたが…。

ぜにがめ堂・岩崎孝典代表:
「ネットとかで業者に直接電話して数量確保する形。きついですね、近頃。このまま(流通量)減ってっちゃうと、いろいろ考えなきゃいけないことが出てくるけど、今のところは何とか頑張っている」

不漁の影響が本格化するのはこれからといわれ、サバ缶の品薄は今後も続く見通し。

飯山だけでなく北信濃全体で大量にサバ缶を消費するネマガリダケのシーズンはもうすぐ。

サバ缶が十分に確保できるか、やきもきとした状況がしばらく続きそうだ。
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