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安全に、おしゃれに「自転車ヘルメット」着用努力義務化 4月スタート

特集はヘルメット。自転車の死亡事故の半数は頭部の損傷によるもの。そこでヘルメットの着用率を上げようと、4月から法改正により着用が全年齢で「努力義務」となる。長野県内の動きを取材した。

自転車で通勤・通学。この光景が4月から少し変わりそうだ。ヘルメット着用が努力義務化されるのだ。

これまでは13歳未満の子どもが自転車に乗る際、保護者にヘルメットをかぶらせる努力義務があった。

4月からは道路交通法の改正により、自転車に乗る全ての人が努力義務の対象となる。「同乗者」についても同じだ。

努力義務のため罰則などはないが、着用していないと事故の際の過失割合や賠償が従来と変わってくる可能性がある。

なぜ、努力義務化されるのだろうか。

ヘルメットの着用効果を検証した動画だ。着用していなかった場合、脳への衝撃は着用時のおよそ17倍になることが分かった。

県警交通安全対策室・小原裕之室長:
「自転車に乗っていて交通事故に遭う、また転倒してしまうだけでも自分の体に大きな傷害・衝撃を直接受けるようになります。頭に特に大きな影響を及ぼします」

2022年、県内で発生した交通事故のうち、自転車が関与した事故は全体の1割にあたる532件。8人が死亡していて、全員ヘルメットをかぶっていなかった。過去の死亡事故も未着用がほとんどだ。

県警交通安全対策室・小原裕之室長:
「高校生に入ると極端に着用率は減少してしまいます。事故に遭い大きなけがをする高齢者もヘルメットの着用率は非常に低い状況となっています」

上田警察署交通課:
「4月から自転車のヘルメットが努力義務化されます」

高齢者:
「こういうヘルメットなら帽子みたいで良い」

上田市で行われた高齢者対象の啓発活動。ヘルメット着用や反射材の装着を呼び掛けた。

過去5年の事故をまとめたところ、ヘルメットを着用していた高齢者は501人中12人。3%にも満たない状況だ。

高齢者:
「ゴミ出すときにちょっと遠いので2、3分なんですけど(自転車に)乗ります。全然かぶったことないし、話を聞いて年齢も年齢だし、ちょっと考えようかなと」
「(自転車に乗る時は)近距離だからあまりかぶらないけれども、本当はかぶった方がいいよね。(ヘルメットかぶってみてどうですか?)別に悪いことはないと思う。頭を守ってくれそうな感じはする」

上田警察署交通課・高藤大輔さん:
「死亡事故に至らなくても、体に障害が残るけがを負ってしまう方も大勢いるので、ヘルメットの着用をお願いしたいと思います」

小中学生に比べると着用率が低い高校生。2月、ヘルメット着用を促そうと、松商学園で「サミット」が開かれた。

意見交換やヘルメットのファッションショー。企画したのは松商学園の生徒たちだ。

生徒:
「サイズはSからトリプルXLまで6種類。カラーは9種類もあります。ステッカーを貼ってアレンジすることも可能」

サイクルサミット実行委員長・野尻咲希さん:
「かぶりたいわけではないけど、安全のためにはかぶらなきゃいけないと思う。(車の)シートベルトだって、事故が多くなってきて義務化になったりもしているので、ヘルメットも同じことができるんじゃないかなと」

松商学園は2022年9月、「モデル校」に指定され、校内に展示コーナーを設けるなど着用促進を図っている。

その効果もあって1、2年生の自転車通学の生徒およそ500人のうち370人は、既にヘルメットを購入した。

サイクルサミット実行委員長・野尻咲希さん:
「強制でさせられたというよりも、安全性を感じるからかぶりたいとみんなが思えるような、学校とか町にしていけたら自分の理想です」

徐々にヘルメット着用の機運は高まっているようだ。

上田市の自転車専門店。

(記者リポート)
「自転車専門店では、おしゃれな要素を取り入れたヘルメットが販売されています」

スポーツタイプのヘルメットや…「つば」が付いたタイプも。

安全に、そしておしゃれにかぶってもらおうと、店ではおよそ100個のヘルメットを用意。1万円前後のものが多いということだ。

オビズサイクル・大日方祐一さん:
「普段着られる服装ですとか、雰囲気に合わせて選べるようになりましたので、日に日に購入される方が増えていて、自転車を取り扱う側としては非常に安心しています」

せっかく買っても、きちんとかぶらないとヘルメットの効果は得られない。正しいかぶり方を教えてもらった。

オビズサイクル・大日方祐一さん:
「後ろ向きにかぶるのではなく、眉毛の上あたり、この位置に来るような形でかぶると良い」

ポイントは「おでこを覆い隠すように眉毛の上あたりでかぶる」こと。おでこが露出していると前方の衝撃から頭を守ることができない。

そして「顎ひもを締めすぎない」こと。指が2本入るくらいがちょうど良く、きつすぎると転倒した際に首を絞めつけてしまう。

命を守るヘルメット。

努力義務化で着用が当たり前になってほしいと、オーナーの大日方さんは願っている。

オビズサイクル・大日方祐一さん:
「自転車を乗るうえでの装備として、自転車にはヘルメットという考えが定着してほしい」





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