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ウクライナに寄り添う"2人の信州人” ポーランドの坂本さん、空手団体の小沢さん

ウクライナに寄り添う信州人です。隣国・ポーランドから支援を続ける長野県千曲市出身の男性と、母と子9人を信州に避難させた空手団体の代表。2人の活動を通じ、ウクライナの今をお伝えします。

平和の象徴・ハトが飛ぶ地球。こちらは戦地に赴いた父親。「お父さん達にも平和を」―。

絵を描いたのは、母と共にポーランドへ避難してきた4姉妹です。父と兄はウクライナに残っています。姉妹が描いた作品の巡回展が、寄付の呼びかけと共に始まっています。上田市の塩田公民館での展示は12月23日まで、その後は松本市(12月26日~)や長野市(2023年1月12日~)でも―。

来場者:
「こういうふうに絵を描いて平和を願っているんだなと、見に染みます」
「子どもまで巻き込んじゃって、かわいそう」

坂本龍太朗さんを支える会・岩田悦子さん:
「(姉妹にとって)自分たちで絵を描く時間も大事ですし、日本でみんなに見てもらえている喜びが、(避難)生活の中で一筋の光というか、励みになっていると思う」

姉妹に絵を勧めたのは、ポーランドでウクライナの支援活動を続ける千曲市出身の坂本龍太朗さんです。

坂本龍太朗さん:
「(最初は)ただ単に気晴らしなんですけど、平和、日本への感謝、祖国愛をすごく出してきた。世界中の関心が減る中、自分の国の平和のために貢献できることを彼女たちも考えて、これが彼女たちの戦い方だと認識している」

(坂本龍太朗さん・配信動画より)
「子どもたちが手伝ってくれています。ウクライナのルガンスクに行く車です」

坂本さんは日本語学校を運営する一方、ロシアの侵攻が始まるとウクライナの友人の訴えを世界に発信し、避難家族を自宅に受け入れてきました。

さらに寄付金で購入した服、医療物資、パソコンなど大量の物資をウクライナに送っています。車も…。

坂本龍太朗さん:
「ポーランドで買った日産。人道物資の前線への輸送と兵士の遺体の輸送に活躍していた。物資の搬入している時にロシア軍の銃撃を受けて、弾痕がある。今はドネツクの民間人避難に使われています」

今、ウクライナでは坂本さんが懸念していた「冬との闘い」が始まっています。送っているのは発電機、防寒具、ロウソクなどです。

坂本龍太朗さん:
「ウクライナは2月が一番寒く、1月中までは発電機とか中心にたくさん入れていく活動になる。戦況の悪化、電力インフラへの攻撃で10月以降、関心が薄まる一方、環境は悪化している。すごい矛盾だと思う。支援がより必要とされているのに、支援の強さが欧米、日本、世界中から減っている」

長引く戦闘と国内避難。危惧しているのは、関心が薄れることで、引き続きウクライナに心を寄せてほしいと訴えています。

坂本龍太朗さん:
「薄まる関心との闘い、それがウクライナの皆さんも一番心配していること。日本はまだまだ余力があることを考えると、長い支援をしてほしいなと思いますし、絵画展に足を運んでくれることも、関心を持ってくれているということで力になる。子どもたちに対しても、それは本当に大きなこと」

空手道禅道会・小沢隆首席師範:
「もしもーし。あー、久しぶりだ」

空手道禅道会の小沢隆首席師範。

「ビデオ通話」の相手は、ウクライナの中央部・ビンニツァに住むスタシウク・ディナさんとクズニェツォバ・カテリーナさんです。

2人は11月まで他の家族と共に高森町に身を寄せていました。一時帰国後、SNSで連絡をとっていましたが、ビデオ通話をするのは20日が初めてです。

スタシウク・ディナさん:
「今は電力状態はとても厳しいけど、計画的に停電してみんなに電力を回すように実行してるから停電のスケジュールに慣れてきて、今のところ生活に支障はない」

クズニェツォバ・カテリーナさん:
「ビンニツァの街自体はかなり防衛が充実し、ミサイルは飛んでこないし、飛んできても撃ち落としてるけど、全体としては状況は良くないので、あちこちで攻撃を受けている」

2人と会話でき、小沢さんは安どの表情を浮かべていました。ウクライナに支部を持つ空手道禅道会。ロシアの侵攻後、小沢さんはすぐに動き出しました。

空手道禅道会・小沢隆首席師範(4月):
「ウクライナのかわいい子どもたちの上に、爆弾が降ってくるのは耐え難い」

門下生の中で希望者を募り2022年5月、4家族9人を信州に呼び寄せました。避難には高森町が協力。9人は町営住宅で新たな生活を始めました。子どもたちは保育園、学校、そして空手の稽古。

母親たちはキッチンカーでボルシチなどを販売する仕事も始めました。しかし…。

パリツカ・ユリアさん(11月):
「皆さん一人一人のおかげで、私たちは快適に楽しく暮らすことができた。心から感謝しています」

厳しい冬を前に祖国の家族・親族を助けるため、9人は一時帰国を決めました。

空手道禅道会・小沢隆首席師範(11月):
「6カ月という短い間だけど、みんなの笑った顔やさまざまなことを思い出す。遠慮なく危険だと思ったら、すぐこっちの方に帰ってきてください」

唱歌「ふるさと」を歌ってお別れ…。

小沢さんはその後も9人の身を案じ、連絡を取っていて支援も継続させる考えです。

空手道禅道会・小沢隆首席師範(ビデオ通話):
「部屋は電気が少ないので暖房は難しい?」

クズニェツォバ・カテリーナさん(ビデオ通話):
「動いたり動かなかったりするけど、自力で暖めている。家は現在、結構暖かい」

空手道禅道会・小沢隆首席師範(ビデオ通話):
「危なくなったら、ちゃんと飛行機代はとってあるので、ちゅうちょなく逃げて、こっちに戻ってきてください」

スタシウク・ディナさん(ビデオ通話):
「ありがとうございます」

クズニェツォバ・カテリーナさん(ビデオ通話):
「本当に危なくなったら、必ず小沢さんに声をかけます、もし避難することになったら、日本以外のところは考えられない」

通話中に眠そうなダニエラちゃんの姿が…

空手道禅道会・小沢隆首席師範(ビデオ通話):
「おー、ダニエラ、元気そうだ」

通話後…

空手道禅道会・小沢隆首席師範:
「とても笑顔だったので、ちょっと安心しました。先が見えないので、精神的にうつになるような人も大勢現れたり、一番深刻なのは戦災孤児。支援という意味ではこれからが本番だと思うので、今後もご協力をしていただけたらありがたい」

ロシアの侵攻が始まっておよそ10カ月。戦闘がやむ気配はまだありません。

ウクライナに寄り添う信州人2人の取り組みも続きます。

「千曲市ウクライナ避難民を支える会」:八十二銀行稲荷山支店 普通口座342836
「禅道会ダニエラ基金」:飯田信用金庫高森支店 普通口座4745355
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