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事故から7年…「ひき逃げ」認定を亡き息子に報告 遺族の執念で“3度目の裁判” 被告に実刑判決 

長野県佐久市で男子中学生が車にはねられ死亡した事故で、ひき逃げの罪に問われた池田忠正被告(49)に懲役6カ月の判決が言い渡されました。事故は2015年3月、佐久市の横断歩道で当時中学3年生の和田樹生さん(当時15)が車にはねられて死亡したものです。異例の3度目の裁判で、ひき逃げの罪での実刑判決。遺族は「何とかたどりつくことができた」と話しています。

2015年3月、佐久市の横断歩道で当時中学3年生の和田樹生さん(当時15)が車にはねられて死亡しました。

運転していた御代田町の池田忠正被告(49)がすぐに救護しなかったなどとして「ひき逃げの罪」に問われていました。

被告は「過失運転致死の罪」で禁固3年・執行猶予5年の有罪判決を受け、「スピード違反の罪」は公訴棄却になっていました。

しかし、これらの結果に納得できない遺族は「ひき逃げの罪」での起訴を求め、検察が今年1月に改めて起訴していました。

異例の3度目の裁判。検察は「被告は通報せず、飲酒を隠そうとコンビニで口臭防止剤を買って現場に戻った」と指摘。

弁護側は短時間で戻って救護しており、同じ事件を2度裁けない「一事不再理」にもあたると主張していました。

29日の判決公判で、裁判所は「裁判が確定していない複数の罪に当たる」として、「一時不再理」の訴えを退けました。

また、現場に戻って救護したという主張には、コンビニで口臭防止剤を買ったことは「飲酒運転の発覚を回避しようとした行為で救護とは対極にある」と指摘。

懲役6カ月の実刑判決を言い渡しました。

事故から7年。両親の和田善光さんと真理さんは樹生さんの写真を手に29日の判決を見守りました。

当時、樹生さんは中学校の卒業式を終えたばかり。高校進学を楽しみしていました。

息子を失った悲しみ。ドライバーの行動に対する不信感。2つの裁判の結果に納得のいかない両親は独自で証拠を集めたり、4万筆以上の署名を集めたりと「ひき逃げ」での起訴を訴えてきました。

父・善光さん(当時):
「執行猶予付きの判決で終わるなんて、市民の感覚からは信じられない」

二人の思いは地検を動かし、3度目の裁判へ。

母・真理さん(当時):
「これが起訴されなかったらすべてが嫌になってしまいそうな自分がいたので、寿命が少し伸びたような命が少し先につながったなというような思いだった」

迎えた判決公判。裁判官は実刑判決を言い渡し、「遺族の厳しい処罰感情を真摯に受け止め反映させた」としました。

ようやく下されたひき逃げでの実刑判決。二人は先祖代々の墓に眠る樹生さんに報告しました。

父・善光さん:
「親として最後にできることだという思いで、何とかたどりつくことができた」

母・真理さん:
「この裁判がすべて終わったときに、本当に樹生を失った悲しみと純粋に向き合ってこの先、生きていくことになるのかなと」

二人は「刑が確定するまでしっかりと見守りたい」としています。
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