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「縁」あって大阪から信州に 移住女性が営む人気パン店 野尻湖畔の旧バス停留所を改装

特集は、長野県信濃町の野尻湖畔にある人気のパン店です。大阪から移住した女性が、使われなくなっていたバスの停留所を改装して店を開き、地域のにぎわいづくりにも一役買っています。

オーブンから次々と取り出される焼きたてのパン。売り場には食パン、総菜パン、カンパーニュなどさまざまなパンが所狭しと並んでいます。

ここは信濃町の野尻湖畔にあるパン店「EN BAKERY 39!(エン ベーカリー サンキュー)」。夏の観光シーズンが終わったこの時期も、絶えず客が訪れていました。

長野市から:
「めっちゃ、うまいです」
「わたしの一押し。生地もおいしいし、甘すぎないところも最高です」

上越市から:
「繁盛するのもわかる。どれを食べてもだいたいおいしい」

店主は大阪出身の谷口美樹さん(39)。「縁」あって信濃町に移住。2年前、念願の店をオープンさせました。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「人が優しくて、田舎暮らしの大変さとかをそこまで感じずに、助けてもらいながら楽しく生活できているので、のんびりしたところでパン作れるのは心穏やかにできるなと思っていいなと」

午前3時半―。夜のうちからパンを作り始める谷口さん。生地作りから焼き上げまでを一人で行っているため、営業は週3日(水・土・日)が限度。でも、パン作りに妥協はありません。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「焼き菓子も合わせて40~50種類ぐらいになるようにしている」

「小麦粉の種類」と「具の量」にもこだわりがあります。小麦粉は国内外の8種類を焼き上げるパンに合わせて、味や食感が良くなるよう組み合わせています。

そして、パンにはさむクリームや総菜はたっぷりと。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「具はたっぷり入れたい感じ。中身が少ないと残念な気持ちになっちゃうので、なるべくたっぷり」

大阪の人気店で修業を積み、腕を磨いてきた谷口さん。4年前、信濃町を訪れたのが移住のきっかけとなりました。「自分の店を持ちたい」と店を辞めて大阪で物件を探していたころ、知人に信濃町のスキー場で営業するキッチンカーの手伝いを頼まれました。当初は1カ月だけの予定でしたが…。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「スキー場でホットドッグを売る仕事をして、それがきっかけで信濃町の良さとか、人の良さとか、長野県いいなみたいな感じで、スキー場のシーズン中に移住と起業を決めた」

しばらく長野市のパン店に勤めた後、2020年11月、念願の「自分の店」をオープンさせました。場所はかつてバスの停留所として使われていた建物。チケット売り場をパン店のカウンターとして使用しています。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「この辺をふらふら歩いていたら、ここを見つけて。趣あると言うか、その感じがいいなと思って」

信濃町に来たのも、面白い物件に出会えたのも、縁あってのこと。そこで…

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「『EN BAKERY 39!』のENは、ご縁の縁。ご縁があってここまでたどり着いて、起業するまでいろんな人に助けてもらったので」

移住して4年。雪深い冬にも慣れ、北信濃の暮らしを楽しんでいます。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「都会だとわからなかった四季をすごく感じるようになった。寒い、暑いだけじゃなくて、移り変りをすごく感じるように。都会の時間の流れ、速さと、こっちにいる速さは違う。パン店を始めてからは猛烈に速い感じ(笑)」

スタッフも加わって午前10時にオープン。自慢のパンが並びました。

一番人気は食パン「39」(430円)。「湯種製法」でもっちりしっとりとした食感が特徴です。

県産全粒粉使ったカンパーニュにクランベリーやクルミがたっぷり入った「メランジェ」(490円)や、カンパーニュにキノコのソテーをのせて焼き上げた「木の子のクロックムッシュ」(360円)なども人気です。

豊富な種類と具だくさんが人気で、長野市やお隣・新潟からも客が訪れます。

長野市から(2回目):
「クリームが軽いので、見た目よりあっさり食べられる。(冬の野尻湖は)活気がないと思ったんですけど、こういうお店に頑張っていただけたら、お客さんも増えて野尻湖の勢いが戻ってくれるといい」

新潟県妙高市から来た母親:
「おいしいです。ボリュームあって、ずっしり重いですね」

店を通じて知り合いも増えました。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「仲良くなった人が、顔の広い人が多かったので、それのつながりで仲良く」

常連客:
「近くにウェイクボードしに遊びに来るので、夏場はお世話になった」
「(出店してくれて)盛り上がっていると思います」
「いやまだまだ、5店舗くらいやってもらって(笑)」
「長野市にもつくってほしい」

人との縁を大切にしようと、建物の一角にある空きスペースで「ワークショップ」も開催。11月は、マグカップやバッグにデザインを施すクラフト体験会があります。

信濃町に店を構えて2年。原材料の高騰など、経営は厳しさを増していますが、谷口さんはこれからもこだわりのパンを作り続けていきたいとしています。

EN BAKERY 39!・谷口美樹さん:
「街にもにぎわいが出ればなと思っている。生活に密着できるパン店ではありたいので、町の人にも来てもらいたいですし、おでかけついででもありがたいですし、ふらっと来られるようなパン店ではずっとありたい」
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