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50歳で豆腐店開業!元ホテルマンの“まじめな味” 家族の後押しで「もう1回チャレンジ」

長野市の豆腐店です。元ホテルマンの男性がアルバイトで始めた「豆腐作り」に魅せられ、2020年に自分の店を開きました。年齢は当時50歳。遅いスタートではありましたが、評判は上々です。

長野市・長野駅前の二線路通りにある飲食店「山の間ブルワリー&クラフトビアパブ」。ビールを飲みつつ、男性客2人が夢中で食べているのは、冷やっこです。

客:
「甘いです。真っ先に大豆の甘み、舌触りが滑らかに、香りがぬける」

その豆腐を作っているのは、長野市川中島町の豆腐店「かまおこせ」です。店主は町田幸成さん(52)。

豆腐作りは夜明け前から始まります。大豆は長野市産の「ひとり娘」。

かまおこせ・町田幸成店主:
「甘みがあっておいしい豆だったので、豆腐屋ができたのもこの豆と出会えたからだと思う。ほんとにこの豆(ひとり娘)のおかげです」

前日の昼から水に漬けてあった豆をすりつぶし、釜で15分ほど煮ます。煮たら豆乳とおからに分け、絹ごし用の豆乳は専用の凝固剤を入れた型に流し込み、残りは冷ましてからにがりを入れ混ぜ合わせます。

かまおこせ・町田幸成店主:
「(にがりを)ゆっくり混ぜればトロンとしたような豆腐になるし、速すぎてもだめだしね。長年やられてる方は均一になるのでしょうけど、まだそこまでいかないです」

店を開いてまだ2年ですが、町田さんのまじめな人柄が味にも現れ、豆腐は評判となっています。

町田さんは長野市出身。北海道の大学に進学し、札幌でホテルマンになりました。家族を連れて長野に戻ったのは30代後半になってから。家業の砕石会社を手伝うためでした。

しかし、景気低迷で業績が振るわず、町田さんはアルバイトを探し始めます。

かまおこせ・町田幸成店主:
「家計を助けるためというのが一番ですよね。早い時間帯だと自由はきくので、そういう仕事を探したら豆腐屋が当たった」

家計を支えるために始めた豆腐店でのアルバイトでしたが…

かまおこせ・町田幸成店主:
「最初はパック詰めだとか、豆腐ひろいから始まってやってたのですが、職人さんが退職されるタイミングで『作ってみるかい』ってことで豆腐を作らせてもらって。(豆腐作りの)難しさもあったが、面白みというか、出来上がった時の喜びがあり、これはちょっと面白いなと思って」

気づくと町田さんは、材料を買って家でも作るなど豆腐作りにのめり込んでいました。

かまおこせ・町田幸成店主:
「自分でお店を持ってやってみたいなと思い始めて、50歳からの転職になると(働き口が)狭くなってくので、なら1回チャレンジしてみようかなと」

妻・美紀さん:
「ある日、『やろうかな』みたいな。え、本当に、え!ですよね。『やろうかな』って言ってるけど、え、私もやるの?みたいな」

アルバイトを始めて7年後、川中島駅の近くに自分の店を開きました。ちなみに店名は大きな釜を起こす七福神の縁起の良い絵から付けました。

豆腐を味見…

かまおこせ・町田幸成店主:
「いいんじゃないですか」

店で出す豆腐は3種類。おぼろ豆腐、木綿豆腐、そして絹ごし豆腐です。

午前10時に開店。厚揚げやがんもなどの総菜は、町田さんの母親が手伝ってつくっています。

客:
「絹豆腐を3丁。湯豆腐に使おうと思って。豆の味もしっかりしていてとてもおいしい。ご夫婦もとても良い方なのでよくしていただいてる」
「とにかくおいしいですね、また食べたいなと思う」

冒頭で紹介した長野駅前の飲食店。地元の豆にこだわっている点を評価し、町田さんの豆腐を仕入れるようになりました。

客:
「ほんとにおいしいなっていう感じ。絹ごしと木綿の中間くらいで、食べごろの柔らかさ」

人気を受けて店は、金曜と土曜限定の豆腐メニューも出しています。

山の間ブルワリー&クラフトビアパブ・小山みち江さん:
「個人的にも、別に頼んで買ってくるくらいで。(客が)『とうふコラボ』を召し上がって、『ほんとにお豆腐おいしいわ』って言われて、その後に冷やっこを注文する方がいるくらいで」

50歳で始めた「商売」。支えたのは家族でした。

かまおこせ・町田幸成店主:
「良い豆腐ができなかった時にやっぱり落ち込むじゃないですか。『落ち込んでたってしょうがないんだから、作るしかないでしょ』と(妻に)尻を叩いてもらった」

妻・美紀さん:
「(主人は)やりがいがあるみたいな感じで、気持ち面ではストレスがそんなになく、好きなことやってるんだなというのは分かります」

かまおこせ・町田幸成店主:
「子どもたちに食べてもらうんですよ」

妻・美紀さん:
「上の娘は結構、味覚がいい」

かまおこせ・町田幸成店主:
「『ちょっと水っぽいね』とか」

妻・美紀さん:
「そうそう、結構、言ってくれるので役に立つんです」

開業して3年目。町田さんは初心を忘れず、これからも豆腐作りに励みます。

かまおこせ・町田幸成店主:
「『豆の味するね』って最初の頃に言っていただいたので、良かったなと。そういうふうに認めてもらえてるのは、いいかなと思う」
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