
食堂の閉店です。大盛メニューで市民に愛されてきた長野市の食堂が、9月24日、物価高のあおりもあって営業を終えました。閉店を惜しむ客に、苦渋の決断をした社長…。最後の一日に密着しました。
オープン前から行列ができ始めていた長野市高田の「ししとう五分一店」。9月24日、最後の営業を迎えました。最終的に行列は20人以上に…。
ししとう五分一店・盛靖司店長(44):
「ここまで並んでくれると思わなかった。自分も負けないように、倒れないように頑張ろうと思う」
午前11時30分、ランチ営業開始。店内はすぐに満席となりました。
早速、自慢のボリューム満点メニューがテーブルへ。
3世代で来店した一家・孫:
「ばあばのちゅるちゅる多すぎない?」
3世代で来店した一家・叔母:
「多いね~」
3世代で訪れた一家。店に通って10年ほどになります。
3世代で来店した一家・父:
「(通い始めたのは)子どもが中学入ってから。部活動でお腹が空いたっていうので、ここは量も多いし、安いし、うまいし」
3世代で来店した一家・息子:
「最後にこの味を食べたくて来ました。(子どもが)覚えてるか分からないですけど、こういうお店があったんだよと、一度は食べてもらいたいなと」
名物のチキンカツカレー。総重量1キロの大盛りにしても値段は一緒です。
大盛りを注文した女性:
「私結構、大食いというかいっぱい食べるんですけど、最後に食べておこうと思って。お腹いっぱいになって、ほんとに大盛りでおいしかったです」
普段、別の食堂にいる社長の盛壮司さん(77)も厨房に。にぎわいに感慨ひとしおです。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「お客さんには感謝、感謝で、昨日の営業も雨の中で並んでるお客さんもいっぱいいて。使ってる調理道具に心の中で『ありがとう、ありがとう』と感謝しながらやってます」
盛さんは妻の美智子さんと48年前から食堂を営んできました。外食チェーンなどの進出で居酒屋に模様替えするなど苦しい時代もありましたが、必死で働きました。
ししとうフーズ・盛壮司社長(2019年取材):
「(一時は)奥さんと2人で、1年間くらいはパンツもかえないほど必死になって働いた」
転機となったのは市役所の食堂の運営事業者になったこと。
ししとうフーズ・盛壮司社長(2019年取材):
「『マスター、(事業者に)応募したか?。おめえには無理だろうな』と言われ、じゃあ出してやるわと」
60歳になってからの挑戦。事業者に採用されるとランチに弁当と全力投球してきました。
その後、「五分一店」を出す一方、実績が認められ県庁や企業の食堂も手掛け、一時は7カ所の食堂を運営しました。
支えてきたのは家族です。県庁食堂の責任者は、次男の剛司さん。
唯一の独自店舗「五分一店」の店長は、三男の靖司さん。
ししとうフーズ・盛壮司社長(2019年取材):
「家族の力があってですね。私1人では大したことはなかった。泣かせないでくださいよ…」
五分一店の「売り」はボリューム満点のメニュー。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「ご飯の大盛くらい(無料で)いいやという気持ちで。なるべく若い人たちに食事が負担にならないように努力してきたので」
社長のこだわりを受け継いできましたが…。
ししとう五分一店・盛靖司店長:
「今年の春から(食材価格が)一気に上がってきている状態で…」
食堂を襲った食材の価格上昇。肉や油、小麦粉がコロナ禍の影響やロシアのウクライナ侵攻で値上がりし続け、店はメニュー価格を上げてしのいできました。
社長は苦渋の決断をします。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「まずは私の歳、高齢になりすぎちゃった。人手不足、コロナの影響、ここにきて物価高もあったり、どうすればいいかと悩んだ。私が元気なうちに、今までやってきたことを少しでも息子に引き継いでいければと」
「五分一店」を閉め、靖司さんに市役所の食堂を任せ、自身は一線を退くことにしたのです。
最終日の夜の営業。昼間と同様、大勢の客が詰めかけていました。
3人で来店:
「安くて量も多くて味もおいしいので、それに尽きるんだなと思います」
「またここに来られなくなっちゃうのがすごく寂しい」
ししとう五分一店・盛靖司店長:
「どうも」
靖司さんの友人:
「写真撮ろうよ」
店長・靖司さんの友人も駆けつけました。
高校時代の同級生:
「頑張ってんだな、えらいなと思う。市役所に行っても盛り上げて、皆さんの腹を満たしてほしい」
社長の妻・美智子さんも手伝いに…
妻・美智子さん:
「ありがとうございました、市役所の方でまた」
最後のにぎわいに社長は…。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「こうみれば若い人たちばっかりだから、この人たち、うちがなくなったら、余計な心配かもしれないけど、どうするんかな」
最後の客が帰る…
盛壮司社長、妻・美智子さん、靖司店長:
「ありがとうございました」
夜10時、ついに営業が終了しました。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「あー、ひとつ終わったかなと、寂しさと達成感といろんなことを考えながら、なんとも言えない気持ち」
妻・美智子さん:
「肩の荷が下りて、ほっとしたのもありますし、やっぱり寂しいは寂しいです」
社長は引退。五分一店は閉店。でも、ししとうの味は受け継がれます。
ししとう五分一店・盛靖司店長:
「市役所でやってないことも、こちらのメニューを取り込んで新しいことをやりたいと思う」
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「お客さんにこれだけ愛されて、ほんとにありがとうと感謝の気持ちしか頭に浮かびません。うちの息子もその気持ちを引き継いでやってくれると思いますので、ぜひこれからも、また『ししとう』をよろしくお願いいたします」
思い出と味を残し、「ししとう五分一店」閉店ー。
オープン前から行列ができ始めていた長野市高田の「ししとう五分一店」。9月24日、最後の営業を迎えました。最終的に行列は20人以上に…。
ししとう五分一店・盛靖司店長(44):
「ここまで並んでくれると思わなかった。自分も負けないように、倒れないように頑張ろうと思う」
午前11時30分、ランチ営業開始。店内はすぐに満席となりました。
早速、自慢のボリューム満点メニューがテーブルへ。
3世代で来店した一家・孫:
「ばあばのちゅるちゅる多すぎない?」
3世代で来店した一家・叔母:
「多いね~」
3世代で訪れた一家。店に通って10年ほどになります。
3世代で来店した一家・父:
「(通い始めたのは)子どもが中学入ってから。部活動でお腹が空いたっていうので、ここは量も多いし、安いし、うまいし」
3世代で来店した一家・息子:
「最後にこの味を食べたくて来ました。(子どもが)覚えてるか分からないですけど、こういうお店があったんだよと、一度は食べてもらいたいなと」
名物のチキンカツカレー。総重量1キロの大盛りにしても値段は一緒です。
大盛りを注文した女性:
「私結構、大食いというかいっぱい食べるんですけど、最後に食べておこうと思って。お腹いっぱいになって、ほんとに大盛りでおいしかったです」
普段、別の食堂にいる社長の盛壮司さん(77)も厨房に。にぎわいに感慨ひとしおです。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「お客さんには感謝、感謝で、昨日の営業も雨の中で並んでるお客さんもいっぱいいて。使ってる調理道具に心の中で『ありがとう、ありがとう』と感謝しながらやってます」
盛さんは妻の美智子さんと48年前から食堂を営んできました。外食チェーンなどの進出で居酒屋に模様替えするなど苦しい時代もありましたが、必死で働きました。
ししとうフーズ・盛壮司社長(2019年取材):
「(一時は)奥さんと2人で、1年間くらいはパンツもかえないほど必死になって働いた」
転機となったのは市役所の食堂の運営事業者になったこと。
ししとうフーズ・盛壮司社長(2019年取材):
「『マスター、(事業者に)応募したか?。おめえには無理だろうな』と言われ、じゃあ出してやるわと」
60歳になってからの挑戦。事業者に採用されるとランチに弁当と全力投球してきました。
その後、「五分一店」を出す一方、実績が認められ県庁や企業の食堂も手掛け、一時は7カ所の食堂を運営しました。
支えてきたのは家族です。県庁食堂の責任者は、次男の剛司さん。
唯一の独自店舗「五分一店」の店長は、三男の靖司さん。
ししとうフーズ・盛壮司社長(2019年取材):
「家族の力があってですね。私1人では大したことはなかった。泣かせないでくださいよ…」
五分一店の「売り」はボリューム満点のメニュー。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「ご飯の大盛くらい(無料で)いいやという気持ちで。なるべく若い人たちに食事が負担にならないように努力してきたので」
社長のこだわりを受け継いできましたが…。
ししとう五分一店・盛靖司店長:
「今年の春から(食材価格が)一気に上がってきている状態で…」
食堂を襲った食材の価格上昇。肉や油、小麦粉がコロナ禍の影響やロシアのウクライナ侵攻で値上がりし続け、店はメニュー価格を上げてしのいできました。
社長は苦渋の決断をします。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「まずは私の歳、高齢になりすぎちゃった。人手不足、コロナの影響、ここにきて物価高もあったり、どうすればいいかと悩んだ。私が元気なうちに、今までやってきたことを少しでも息子に引き継いでいければと」
「五分一店」を閉め、靖司さんに市役所の食堂を任せ、自身は一線を退くことにしたのです。
最終日の夜の営業。昼間と同様、大勢の客が詰めかけていました。
3人で来店:
「安くて量も多くて味もおいしいので、それに尽きるんだなと思います」
「またここに来られなくなっちゃうのがすごく寂しい」
ししとう五分一店・盛靖司店長:
「どうも」
靖司さんの友人:
「写真撮ろうよ」
店長・靖司さんの友人も駆けつけました。
高校時代の同級生:
「頑張ってんだな、えらいなと思う。市役所に行っても盛り上げて、皆さんの腹を満たしてほしい」
社長の妻・美智子さんも手伝いに…
妻・美智子さん:
「ありがとうございました、市役所の方でまた」
最後のにぎわいに社長は…。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「こうみれば若い人たちばっかりだから、この人たち、うちがなくなったら、余計な心配かもしれないけど、どうするんかな」
最後の客が帰る…
盛壮司社長、妻・美智子さん、靖司店長:
「ありがとうございました」
夜10時、ついに営業が終了しました。
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「あー、ひとつ終わったかなと、寂しさと達成感といろんなことを考えながら、なんとも言えない気持ち」
妻・美智子さん:
「肩の荷が下りて、ほっとしたのもありますし、やっぱり寂しいは寂しいです」
社長は引退。五分一店は閉店。でも、ししとうの味は受け継がれます。
ししとう五分一店・盛靖司店長:
「市役所でやってないことも、こちらのメニューを取り込んで新しいことをやりたいと思う」
ししとうフーズ・盛壮司社長:
「お客さんにこれだけ愛されて、ほんとにありがとうと感謝の気持ちしか頭に浮かびません。うちの息子もその気持ちを引き継いでやってくれると思いますので、ぜひこれからも、また『ししとう』をよろしくお願いいたします」
思い出と味を残し、「ししとう五分一店」閉店ー。