YouTube X Instagram

今、『牟礼駅前』がアツい!? 空き店舗への新規出店続々 商店街に吹く新たな風 夏祭りも大にぎわい  

長野県飯綱町の牟礼駅前にある商店街にここ数年、古着店や写真スタジオなどの新規出店が相次いでいます。その理由と、新たな店のあるじたちも加わって、にぎやかさを増した夏祭りを取材しました。

射的に、金魚すくい。大勢の人が繰り出しています。今月6日に行われた牟礼駅前商店街の「夏祭り」です。

通りの屋台は商店街の店主たちが出したもの。その中には「初参加」の若い店主たちの姿がありました。ピザを販売したのは、2020年から古着店を営む宮本武義さん(37)です。

宮本商店FLAVOR・宮本武義さん:
「これだけ飯綱町に人がいて、催し物があれば人が来てくれるという環境なんだなとつくづく思う」

商店街ではここ数年、宮本さんのような新しい経営者の店が増えています。

しなの鉄道北しなの線の牟礼駅から300メートルほど続く商店街。普段、人影はまばらです。

かつての商店街は50軒ほどの店が並び、買い物客でにぎわいました。しかし、マイカーの普及で地元で買い物をする人が減り、近年は人口減少もあってシャッターを下ろす店が目立つようになりました。

金物店だったこちらの建物も長く空き店舗でしたが、今はたくさんの服やキャラクターグッズ、小型のバイクが並んでいます。

宮本商店FLAVOR・宮本武義さん:
「1960年代のアメリカ海軍の『A2デッキジャケット』の初期型。個人的にミリタリーものの服やアイテムが好き」

冒頭で紹介した宮本さんが営む古着店「宮本商店FLAVOR」です。宮本さんは地元の出身で高校卒業後、上京してアパレルの仕事についていましたが、自分の店を持ちたいと30歳のころにUターン。商店街にも思い入れがありました。

宮本商店FLAVOR・宮本武義さん:
「自分のお店を開きたいというのが夢であり、ちょうどそうした時にこの商店街が、僕が小学生とか中学生の時に比べてだいぶさびれてしまった印象があって、僕がお店をやることで昔の活気まではいかなくても活気が戻ればいいなと」

店には「ホンダ・スーパーカブ」など、趣味で集めた古いバイクを30台ほど並べていて、SNSで知ったファンが県外からも訪れているそうです。(※販売はしていません)

宮本商店FLAVOR・宮本武義さん:
「僕の置いているものや趣味に共感してくれるお客さまが遠方から来てくれるので、好きな人が集まれる場所、そういう場所を提供していけたらいい」

新規出店は、他にも―。

写真スタジオ兼デザイン事務所を開業・中嶋真也さん:
「ここにバックペーパーを置いて人物を撮ったり、テーブルを置いて物撮りをしたり」

電気店だった建物に今年6月オープンしたのは、写真スタジオ兼デザイン事務所。町の地域おこし協力隊員として去年移住してきた中嶋真也さん(25)が運営しています。ふるさと納税の仕事を担当する傍ら、観光PRポスターなどの制作も手掛けています。

写真スタジオ兼デザイン事務所を開業・中嶋真也さん:
「まずはこの街になじめるように、自分の場所をつくりつつ動いている状態。協力してくれる方をちょっとずつ集めて、皆さんと一緒に街が盛り上がるようなイベントとかをやっていければいい」

商店街には他にも、ここ数年で、裁縫道具などを扱う店やカフェなどが出店しました。

栄町商栄会・小林直樹会長:
「ありがたい、おもしろい。私の頭には描けないような商店が、どんどん来てくれるのでうれしい」

「商店街」の会長で文具店などを営む小林直樹さん。新規出店を支えてきた一人です。

長年、「シャッター街」を何とかしようと思っていた小林さん。宮本さんのような出店希望者と空き店舗の所有者の間に入って調整役を果たしてきました。

栄町商栄会・小林直樹会長:
「かなり前からこの商店街に出店したいという希望はあった。でも、所有者は『今すぐお貸しするわけにいかない』『いろんな思いがつまっている』と。ここにきて『いいよ』というタイミングが重なった」

宮本商店FLAVOR・宮本武義さん:
「小林さんも大家さんに頭をさげていただいて、それでお借りすることができた。命の恩人、感謝しっぱなし」

栄町商栄会・小林直樹会長:
「そういうふうにしながら昔のにぎわい取り戻していければ、いい街になりますね」

迎えた商店街の夏祭りの日。新型コロナの影響で開催は2年見送られ、3年ぶりの祭りです。

訪れた人:
「射的が楽しかった」
「こんなに若い子もいっぱいいるんだと思って、楽しい」

普段、静かな商店街に人があふれます。

宮本さんはこの日のために露天営業の許可を取り、アウトドア用の窯でピザを焼いて販売しました。

宮本商店FLAVOR・宮本武義さん:
「ツナマヨコーンとシーフードをやっている。大忙しで手が追いつかない。みんなが商店街に来てくれるのが、お店を構える身としてうれしい」

協力隊員の中嶋さんは、コーヒーを販売する知人と一緒に事務所の前にキッチンカーを出しました。

写真スタジオ兼デザイン事務所を開業・中嶋真也さん:
「まさかこんなに来るとは思っていなかったので、ちょっとびっくり。定期的にこういうことができれば、この街も盛り上がっていくと思う」

栄町商栄会・小林直樹会長:
「どうだ、きょうの売れ行きは?」

中嶋真也さん:
「いいです、すごく忙しい」

屋台に顔を出して回った小林会長。3年ぶりのにぎわいと新しい店主たちの姿に手応えを感じていました。

栄町商栄会・小林直樹会長:
「新しいものを考えて売ったり、生き生きとしている。若い人たちの力でこの街が少しよみがえってくれたらと、うれしさがこみ上げてきた」

若者のチャレンジとそれを支える地元の人々。駅前商店街に新しい風が吹き始めています。
  • facebook
  • twitter
  • LINE
長野放送ニュース

あなたにおすすめ