
再選を果たした立憲・羽田さん
参院選の長野県選挙区で、立憲民主党現職の羽田次郎さん(55)が再選しました。接戦が予想された1人区で、野党が「牙城」を死守する形となりました。物価高が続く中、食料品の消費税ゼロなど暮らしに直結する政策が有権者の心をつかみ、自民党候補を振り切る結果となりました。当選の背景と各候補の戦いぶりから、選挙をふりかえります。
■羽田さん議席維持 背景に「物価高」
県世論調査協会が公示前に行ったモニター調査によると、今回の争点として「物価高」を挙げた人が7割近くに上り、最も多い結果となりました。次いで「景気・雇用」「消費税」もそれぞれ約3割となり、コメをはじめとした物価高騰が長引く中、「暮らしをどう支えるか」に有権者の関心が集中していたことがうかがえます。
立憲の現職、羽田次郎さんは、こうした有権者の不安に応える形で、「食料品の消費税率ゼロ」を前面に打ち出しました。また「まっとうな政治を取り戻す」と自公政権に対する批判的な立場も強調。兄の雄一郎さんと父の孜さんがこだわり続けた「政権交代可能な政治」を訴え、支持を集めることに成功しました。共産・社民と候補を一本化し、国民民主党の支援も受けた野党共闘の成果とも言えます。
羽田さんは報道陣の取材に対し「政府の物価高対策は十分説明できていなかった。バラマキになってしまっていた。私たちの方が訴えられたということだと思う」と分析。今後については「過半数を野党がとれるようなことがあれば、野党の結集、野党の結束、とにかく政権交代目指していくこと、そのハブになれるようなことを汗をかいて進めていきたい」と意欲を示しました。
■自民・藤田さん 党に逆風、参政党の影響も
自民党新人の藤田ひかるさんは、外務省やコンサルタント会社での経験を生かし、安全保障の強化や若者・女性が住みやすい地域づくりを訴えました。自民党県連では初の女性候補として刷新感をアピールし、野党が掲げる消費税減税を「聞こえのいい政策」と批判。与党議員の重要性も訴えましたが、議席獲得には至りませんでした。
開票を見守った長野市内の会場で、藤田さんは涙を見せながら「私に1票を託していただいた皆様、ありがとうございました。結果という形でこたえられず大変申し訳ございません」と、感謝と無念の思いを語りました。
敗因としては、知名度不足に加え、擁立決定が2月と出遅れたことで浸透する時間が足りなかったことが挙げられます。また党への逆風で、これまで支持してきた「保守層」が参政党などへ流れたことも影響したとみられています。
■台風の目・参政党 県内でも存在感
参政党の新人・竹下博善さん(42)は落選したものの「私自身、自分のできる力を振り絞ってやってきた。この選挙結果を受けて止めて、これからも前進していきたい」と述べ、党の支持拡大には「長野県でも支持いただいた」と手応えを感じている様子でした。
今回の選挙で「台風の目」となった参政党は、県内でも一定の存在感を示し、今後の政治地図にどのような影響を与えるか注目されます。