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土石流災害から1年…復興誓う「御柱祭」 茅野市高部地区 27年前被災の小谷村からも参加

特集は祭りでつながった二つの被災地です。土石流災害から9月5日で1年。8月28日、長野県茅野市高部地区で御柱祭が行われました。災害の爪痕が残る中、過去、大きな土砂災害から立ち直った小谷村からラッパ隊が駆けつけ、地区を勇気づけました。

御柱をにぎやかに引いていく住民たち。28日、茅野市宮川・高部地区で行われた御柱祭です。諏訪地域では春の諏訪大社御柱祭のあと、小さなお宮・小宮でも御柱祭が行われます。

「がんばれよ、男」

小林洋一区長(53)は格別な思いで祭りを迎えた一人です。

高部地区・小林洋一区長:
「来週になれば災害1年目になるけど、だいぶ村の人たちもこのコロナ禍だけど、きょうも大勢の方(が来て)人の手で小宮祭を行えそうなのでうれしく思います」

去年9月5日の夜。大雨により地区を流れる下馬沢川で土石流が発生。住宅を襲いました。住民同士が声を掛け合って避難し、けが人はいませんでしたが…

住宅と事務所が全壊。

住民(当時):
「もうあぜんしかない。帰ってこられないと思うとせつない」

小林区長の自宅も…

高部地区・小林洋一区長(当時):
「床下浸水になっているので、床を壊してポンプで水をあげている」

全壊9軒、床上・床下浸水69軒という大きな被害が出ました。

あれからまもなく1年。一部に土砂や大きな石が残る中、災害復旧工事が続いています。住宅は多くが復旧しましたが、現在も3世帯が県営住宅に避難しています。

高部地区・小林洋一区長:
「(綱が)ゆるくならないようにな」

そうした中、諏訪大社の御柱祭に続き小宮の御柱祭を迎えました。

高らかに響き渡った木遣(きや)りを合図に曳行(えいこう)が始まりました。御柱は長さおよそ10メートル、直径およそ90センチ。住民が力を合わせて引っ張ります。

住民:
「みんな知り合いだもん、一番楽しい。昔からまとまっている地区だから、なお一層まとまっていいんじゃないかな」
「災害があったので気分がダウンしていたのが、この祭りでみんな一気にアップしているかな」

今回、祭りに特別参加した人たちがいました。小谷村消防団のラッパ隊です。1995年7月、梅雨の大雨により姫川流域で土石流や土砂崩落が相次いだ小谷村。交通網の寸断、集落の孤立など大きな被害が出ました。斉藤利浩さん(43)は当時、高校生。

ラッパ隊(小谷村)・斉藤利浩さん(43):
「隣の村の高校に通ってたけど家に帰れなくなった。4、5日くらいは隣の村の知り合いのところに身を寄せていた。まさかこんなことが自分たちのところで起こると思ってなかった」

同じような災害に遭い、諏訪大社の宮司が小谷村で神事を行う縁もあることから今回、招かれたラッパ隊。住民を勇気づけたいと練習を重ねてきました。

ラッパ隊(小谷村)・斉藤利浩さん(43):
「少しでも何かできることがあればと参加したが、(高部の)皆さんが明るく元気で逆にこっちが見習わなきゃいけないなと」

高部地区・小林洋一区長:
「(高部に)来てくださって少しでもにぎやかにしてくれるのはありがたい。教訓を忘れずに防災意識を高めたから、普段通りの生活を送れるよう、勇気づけられた」

正午過ぎ、御柱が地区のお宮「相本社(あいもとしゃ)」に到着。いよいよ建御柱です。

午後5時過ぎ、御柱が建つ―。

(垂れ幕)
「高部の明るい未来へ 夢・希望・絆」

氏子:
「昨年の災害から1年たってようやくここまで復興して御柱を迎えることができました。ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」

住民が心を一つにした御柱祭。復興への歩みを皆で確認し合う場となりました。

高部地区・小林洋一区長:
「ようやく皆さんは生活空間が元に戻ってきている方もたくさんいるけど、その中でもまだおうちへ戻れない方がいるのが悔しいところ。これからもどんどん復興、工事も終わっていけば、みんなもっと明るく生活できると思う」
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