励まし合って腕磨く!三味線三姉妹 長女は全国コンクールで優勝 プロ奏者も期待の3人

4月19日、長野県安曇野市。
「ただいまー」
小学校から帰った宮沢家の三姉妹。6年生の莉乃音(りのん)さん(11)、4年生の愛乃音(あのん)さん(9)、そして3年生の詩乃音(しのん)さん(8)。
早速、宿題に取り掛かります。
長女・莉乃音さん:
「(何の宿題?)漢字の練習です。あと算数のプリント」
3人には宿題を早く終えたい訳があります。それは、日課となっている「津軽三味線」の練習です。
詩乃音さんは、さおが長くてちょっと大変そうですが、3人とも見事なばちさばきです。それもそのはず、そろってプロに習っています。中でも長女の莉乃音さんは、このほど快挙を成し遂げました。
「津軽じょんから節」を弾く莉乃音さん。4月3日、東京・浅草公会堂で開かれた「津軽三味線コンクール全国大会・小学生の部」に出場。
事前審査を通過した8人がハイレベルな演奏を披露する中、見事、初優勝を果たしました。
長女・莉乃音さん:
「3年生のときに初めて出て、これまで悔しい思いをして頑張って練習してきた成果がはっきり出せたので、うれしかった」
姉妹が三味線を始めたのは莉乃音さん4歳、愛乃音さん3歳のとき。知人から勧められたのがきっかけです。
長女・莉乃音さん:
「迫力ある音や細かい技術にひかれて、私もできたらすごいなと思ってやりたいと思いました」
次女・愛乃音さん:
「体の中に音楽がドーンってきて、すごい良い音だったからやってみたいなと」
両親は早くから音楽に触れさせたいと思っていました。3人の名前に「音」の字が入っているのは、「音楽のように周囲を和ませる人になってほしい」という願いが込められています。
父・宮沢孝広さん:
「(「音」を入れたのは)人の心を和やかにしたりとか、落ち着かせたりとか、人を喜ばせることができるのは音楽かなと思って。探りながらやっていく、自分も成長できるっていうことも考えながら、三味線っていう珍しい和楽器のところに行かせたいなと思った」
月に2回、プロ奏者の指導を受けていて、去年から三女の詩乃音さんも一緒に教室に通っています。
現在、通っているのはプロ奏者・山口ひろしさんの教室。全国コンクール優勝の莉乃音さんの腕前を師匠も高く評価しています。
プロ奏者・山口ひろしさん:
「今の段階でこれくらい弾けるという人は、あまりいないと思う。性格はものすごい真面目。これからいろんな人生経験をして、それが音色につながっていくと、より深い彼女なりの津軽三味線になると思う」
次女・愛乃音さんは...
プロ奏者・山口ひろしさん:
「お姉ちゃんがいろいろなところで活動したり、クローズアップされたりして、それを応援しつつ自分も刺激を受けながら、いい関係だと思う。豪快なばちさばきで、体が小さいのに、そこがまたかっこいいなと」
習い始めたばかりの三女・詩乃音さんは...
三女・詩乃音さん:
「お姉ちゃんたちの真似してるのが一番楽しい」
技術はこれからですが素質は十分のようです。
プロ奏者・山口ひろしさん:
「頑固なところもあって目立ちたがり屋で、とっても舞台に向いているタイプだと」
自宅ではほぼ毎日、夕食前の1時間、練習に励んでいます。
長女・莉乃音さん:
「(妹たちには)お姉ちゃんと同じように賞いっぱい取りたいって気持ちがあるので、引っ張っていけるように自分も頑張らないといけないっていう。一緒に成長していく仲間というか、そんな感じです」
莉乃音さんと愛乃音さんは良きライバル。3月に金沢市で開かれた大会の小学生の部で、莉乃音さんは準優勝、愛乃音さんは3位でした。
次女・愛乃音さん:
「悔しかったです。お姉ちゃんが賞取ってから、自分も賞取りたいとか、お姉ちゃんみたいに上手に弾きたいというのはあります」
母・百合子さん:
「(3人は)ちゃんと一人一人、みんな実力を認めているというか、妹、お姉ちゃんの性格を理解してちゃんと付き合っているんだなと思う」
4月17日、そろって和服姿の三姉妹。この日は、能楽など日本の伝統芸能を紹介する催しに参加しました。
3人が通う三味線教室の出番。莉乃音さんと愛乃音さんは、他の門下生と津軽三味線を演奏しました。
まだ姉たちのように演奏ができない詩乃音さんは、客席からステージを見守りました。
三女・詩乃音さん:
「すごかった。お姉ちゃんたちと演奏できるように頑張りたい」
プロ奏者・山口ひろしさん:
「3人ともこの1年でだいぶ成長したと思います。日本のみならず、海外でも通用するアーティストになって育ってくれたらうれしいなと思います」
励まし合い、競い合って腕を磨く三味線三姉妹。成長した3人が弾く三味線は、どんな音を響かせるのでしょうか。