祖父と父が愛したスキー場 女性支配人の決意 客足はピークの1割以下に 「にぎわい取り戻したい」

祖父と父が愛したスキー場 女性支配人の決意 客足はピークの1割以下に 「にぎわい取り戻したい」
特集はスキー場と家族の物語です。今シーズン、長野県王滝村のスキー場が新たな指定管理者の下、再スタートを切りました。支配人は地元の女性。祖父と父が深く関わったスキー場に、再びにぎわいをと奮闘しています。

さっそうとゲレンデを滑るスキーヤーたち。

愛知から:
「標高が高くて柔らかい雪で滑りやすい」

滋賀から:
「雪が最高です」

ここは王滝村の御嶽スキー場。この日は、あいにくの天気でしたが、晴れた日には雄大な御嶽山が望めます。

スキー客に対応する家高里加子さん(35)。今シーズンから支配人を務めています。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「安全第一なので、それを考えて一日を過ごしている。とても責任が重いですね」

開業から60年目の今シーズン、スキー場は新たなスタートを切りました。

スキー場を所有する王滝村は、業務報告書の提出が遅れたなどとして指定管理者を都内の業者からカレー店などを手掛ける地元の会社「シシ」に変更。名称も「おんたけ2240」からかつてと同じ「御嶽スキー場」に戻されました。

指定管理者「シシ」・岩堀翔太社長:
「村にとってはかけがえのない施設であり、冬の木曽を支える基幹産業だと。御嶽スキー場を活性化させることが、王滝村、木曽の発展につながる」

節目のシーズンに支配人を任された家高さん。実はスキー場に特別な思い入れがあります。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「祖父が御嶽スキー場を開設しまして、父が御嶽スキー学校長として務めていた。私にとってスキー場は大切な場所」

祖父の卓郎さんは元村長。1961年のスキー場開業を推し進めた一人で、家高さんは幼いころによくスキーに連れてきてもらったそうです。

麓で旅館「たかの湯」を営んでいた父・弘文さんは一時、スキー学校の校長を務めていました。

スキー場は旅館にとっても大事な施設。2014年の御嶽山の噴火災害で一時、営業ができずにいましたが、入山規制の緩和で再開が決まった時、弘文さんも安堵した様子でした。

父・弘文さん(当時):
「ようやくこの日が来たかなという気持ちでいっぱい。安心しました」

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「2人とも御嶽スキー場が大好き。駐車場がいっぱいになって、王滝村の冬場遊ぶ場所は、ここという感じでした」

長く伊那市のバス会社で働いていた家高さん。2016年に転機を迎えました。父・弘文さんが亡くなったのです。

家高さんは村に戻り、噴火災害にコロナ禍と窮地の続く旅館を支えてきました。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「(噴火以来)お客さんが減っているなと感じて、少しでも地元の人や観光で来る人に、王滝村っていいところだなと感じてもらえる場所を提供したいと」

その一方で、冬場はスキー場でアルバイト。自身が楽しんだ頃とすっかり変わってしまったスキー場を見つめてきました。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「平日のお客さんがこれだけしかいないのかとびっくりした。昔のにぎわいが全くないのを感じまして」

スキー人口の減少に加え、噴火災害の影響もあり、30年前に66万人あった入り込みは、近年は4万人前後まで落ち込んでいます。

祖父も、父も、そして自身も通ったスキー場ににぎわいを取り戻したい...。その思いから、家高さんは指定管理者の「シシ」に入社、支配人に立候補したのです。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「ここで何とかしないと前には進めない。自分が先立って王滝村の皆さんと一緒に、御嶽スキー場を立ち直らせたい」

2021年12月29日のシーズン初日。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「お客さまの前では必ずあいさつと笑顔。遠くまで来ていただいていますので、おもてなしの心を持って接客をしてほしい」

「家高支配人」の挑戦が始まりました。

中京圏や関西圏に根強いファンを持つ御嶽スキー場。指定管理の引継ぎに手間取り、オープンは10日ほど遅れましたが、初日は360人が訪れました。

名古屋から:
「すごく御嶽スキー場が好きでオープンを待ちわびて、きょうは頑張るぞって意気込みで」

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「カラマツペアリフト、8時35分スタートにします」

午前8時半過ぎオープン。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「たくさんのお客さんに来ていただいて、無事に60周年迎えたことをうれしく思います。お客さんには感謝しかない、思うと涙が出てきそう」

雪質の良さと雄大な眺望はスキー場の自慢。そこに、新たな魅力が加わりました。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「バイクのウエアを作っている『クシタニ』というブランドなんですけど、ウインターシーズンに初デビューということで」

バイクウエアの人気ブランドのウインターグッズを扱うショップが国内初出店。夏場もツーリストを呼び込もうと、通年営業する予定です。

レストランもてこ入れ。麓のカレー店「ララカレー」の本場、スリランカカレーを提供しています。

カレーを食べた客:
「スパイシーです。王滝村の赤カブ(の漬物)と一緒なのがいい」

新たな一歩を踏み出した「御嶽スキー場」。まだ利用客は思うように伸びていませんが、前を向く家高支配人に迷いはありません。

御嶽スキー場支配人・家高里加子さん:
「ここでしか味わえない雪質、景色。ここに来ないとこの景色は見られないことを皆さんに感じてもらいたい。お客さんをいっぱい呼びたい」