【特集】コロナ禍に奮闘 情熱と工夫の鮮魚卸 主はユーチューバー!? 新鮮な魚を動画でPR

【特集】コロナ禍に奮闘 情熱と工夫の鮮魚卸 主はユーチューバー!? 新鮮な魚を動画でPR
特集はコロナ禍に奮闘する長野県下諏訪町の水産卸業者です。売り上げが落ち込む中、静岡から仕入れた新鮮な魚を多くの人に届けようと、宅配や動画投稿サイトを活用しています。

丸松水産・松浦志保さん(「まっちゃんねる」の動画撮影の様子):
「脂がのってますね。頭になります」

ここは下諏訪町の丸松水産。豪快なマグロの解体ショーが始まりました。ただし、客はいません。置いてあるのはカメラです。

丸松水産・松浦志保さん:
「これが腹側になります」

解説するのは経営者の松浦志保さん。いわば「ユーチューバー」です。

今年3月、動画投稿サイト「You Tube」にチャンネルを開設。旬の魚のさばき方やおいしさを紹介する動画を投稿しています。コロナ禍を乗り切るための取り組みの一つです。

丸松水産・松浦志保さん:
「コロナの状況になって、ものすごく世の中の動きが大きく変わったし、新しい常識に当てはまるようなビジネスモデルを考えて『こんな魚があるんだよ』と。即日こういったものをお届けできますって発信もしている」

空が白み始めた午前4時半。松浦さんが静岡県の静岡市中央卸売市場にやってきました。週5日、下諏訪から車でおよそ2時間かけて市場に通い、魚を仕入れています。

丸松水産・松浦志保さん:
「朝どれのものや全国から集まった高鮮度のもの、いい魚を買いつけて持ってきて、いいものをお届けするのが一番の強み」

松浦さんは静岡市出身。魚が好きで、高校卒業後にこの市場の仲卸業者などで経験を積み、いつか自分で鮮魚卸を始めようと思っていました。

再び2時間かけて下諏訪へ―。

丸松水産を立ち上げたのは36歳になった2015年。信州で開業したのには訳があります。

丸松水産・松浦志保さん:
「魚に関しては松本や諏訪エリアがいいものが入りにくい場所というのがデータで分かったのと、もう一つはマグロの消費量で調べた時に、長野県は5位か6位と全国でもトップに入るようなマグロの消費量があったものですから」

内陸部だからこそ海の幸が好まれる。そうした傾向を捉えての開業でした。

飲食店やホテルに卸す一方、3年ほど前から土日に小売もしています。一番人気は「丸松刺身スペシャル」(1人前税込1080円)。その日、仕入れた10種類の刺身の盛り合わせです。お得意さんもできました。

刺身を購入した客:
「おいしいです。長野県にいてこれだけのお刺身がいただけるのはありがたい」
「とてもぷりぷりしてて、おいしい。カットが厚いので魚本来の味をずっとかみしめて食べられます」

経営は軌道に乗っていましたが、去年、ピンチが訪れました。新型コロナウイルスの感染拡大です。飲食店や宿泊業者などの卸先が休業するなど注文が大幅に減少。売上は半減しました。

徐々に回復したものの、この夏も「第5波」の影響が心配の種です。

丸松水産・松浦志保さん:
「今の状況で言っても、コロナ前と比べてもまだまだ数字が戻ってないから、影響としてはかなり受けている」

そこで、一般向けに力を入れる取り組みを始めました。その一つが、3月に始めた「宅配」です。その日仕入れた魚をその日の内に客のもとへ届けます。

丸松水産・松浦志保さん:
「なかなか遠方で来られない方にも即日で最高のお刺身をお届けするサービスを展開して、新たな顧客の拡大を図っている」

もう一つが冒頭で紹介した魚のおいしさやさばき方を伝える動画制作です。

この日、魚のさばき担当の荻原さんと一緒に撮影したのは、天然ミナミマグロの解体ショー。重さおよそ50キロです。

台本などはなく、静岡の市場で培った知識を生かし、部位などを説明していきます。

丸松水産・松浦志保さん(「まっちゃんねる」の動画撮影の様子):
「皮目から脂があるところ、こちらが中トロっていう部分になる」

おいしさをアピールする「食リポ」も。この日は、中トロの刺身です。

丸松水産・松浦志保さん:
「これ、当たりです、うまい!」

撮影を終えたら編集作業です。

丸松水産・松浦志保さん:
「なるべくダラダラならないように、伝えるべきところをギュッと簡潔にお届けできるように気を付けている」

これまでにキンキをさばいて煮付けにする内容や松葉ガニのおいしい食べ方などを動画で紹介しています。

動画も駆使しながらコロナ禍を乗り切ろうとしている鮮魚卸業者。松浦さんを支えているのは、おいしい魚を届けたいという情熱です。

丸松水産・松浦志保さん:
「全国の浜から来る、より良い魚を高鮮度で長野県内にお届けしたい。マグロは特に力を入れている部分だから、『マグロといったら丸松水産でしょ』と言ってもらえるような代名詞になれるくらい長野県内で有名になれればいいなと」