【特集】フレンチの「おやき」!? 元シェフが専門店 信州の郷土食が変身 洋風テイストに!

【特集】フレンチの「おやき」!? 元シェフが専門店 信州の郷土食が変身 洋風テイストに!
特集は信州人のソウルフード・おやきです。フレンチの元シェフが長野県安曇野市におやき専門店を開きました。これまでに無い味が郷土食の可能性を広げています。

古民家を改修した施設の中に、その店はあります。こんがり、きつね色に揚がったのはおやきです。ここは今年(2021年)2月にオープンしたおやき専門店「儘に」(ままに)。店名には主の思いが込められています。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「お客さまに寄り添いながら、作り手が心の"ままに"作っていこうという意思が込められている」

店を開いたのは松川村出身の白沢岳士さんです。生地のベースは地粉の中力粉で、もっちり感を出すため、イタリア産の強力粉などもブレンドしています。しばらく寝かせたあと、麺棒で伸ばし具材を包んでいきます。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「(おやきは)蒸したり、焼いたり、揚げたり、調理法は多岐にわたっている。めちゃくちゃ奥深いなと思います」

白沢さんはおやき職人として一歩を踏み出したばかり。もともとはフレンチのシェフでした。23歳で料理の道へ進んだ白沢さん。東京で修業を積んだあと、2012年から5年間、ふるさと・松川村でフレンチのレストランを営みました。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「やり切った感があって、レストランという形態というか、朝早く起きて仕込みして、ランチ営業してまた仕込みして、夜やって片付けて夜遅く帰るみたいな。年齢を重ねてこの先そのまま行っても、ずっとは続けられないかなと」

白沢さんは店にひと区切りをつけ、もっと腕を磨こうと、去年2020年、本場・フランスに渡る決意をしました。しかし、新型コロナの感染拡大で渡航を断念。心ならずも、改めて将来を考える時間ができました。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「レストランにくる敷居って結構、高いじゃないですか、フランス料理って。もっと気軽に買って帰れるみたいな業態を考えていて、何を極めようっていったら、信州生まれってことを柱にして、長野県のファストフードっていったらおやきだなって思って」

つてを頼りに古民家施設の中に場所を確保し、おやき作りを始めた白沢さん。伝統を大事にしながらもこれまで培ったフレンチの技を生かすことにしました。

自家製のベーコンをオリーブオイルで炒め...そこに刻んだタマネギに春キャベツを投入し、塩をふります。水を加えず、野菜の水分だけで具材を煮るのはフレンチの調理法です。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「『エチュベ』っていう技法で、蒸し煮って意味なんですけど、素材の水分だけで火を入れて、素材のうまみが凝縮される」

片栗粉でとろみをつけた具材を生地で包み、上にチェダーチーズをのせ...オーブンで焼き上げれば完成です。

「蒸しキャベツとベーコンチーズのおやき」(350円)。

こちらは「ファストフード」を意識したおやき。手作りのソーセージと、炒めたタマネギを生地で包み、油で揚げます。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「具によって最適な調理法はあると思っていて、食べたときボリューム感があるようにしたいので揚げ生地にしている」

さらにオーブンで焼き、仕上げにスペインの調味料「ドライパプリカパウダー」を振りかければ完成です。

「メキシカンソーセージと焦がし玉葱のおやき」(360円)。

現在、販売しているおやきは5種類で、毎日150個ほどを作っています。1人で店を始めましたが、忙しさを見かねて友人たちが手伝いに来ています。

友人:
「具材も今までにないものを考えて、生地も良いものを目指して作っているので、手伝っていて楽しい」

午前11時に店がオープンすると、次々と客が訪れます。

購入した客:
「おしゃれなおやきだったので、どんな味なのか楽しみ」

店内にはイートインコーナーもあります。

「蒸しキャベツとベーコンチーズのおやき」を食べた客:
「キャベツが甘くてとてもおいしい」
「フワフワしていて外はカリっとなっていて、とてもおいしい」

「メキシカンソーセージと焦がし玉葱のおやき」を食べた客:
「めちゃくちゃおいしいです。ハンバーガーに近いですね。新しい感覚です」

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「リピーターさんもいらしてくれて、来てくれると安心する。この方向でやってきて良かったなと」

山あいの「粉食文化」を象徴する郷土食「おやき」。白沢さんはそこにフランスやスペインのエッセンスを取り入れ、味の幅を広げています。今後も種類を増やし、夏ごろにはネット販売にも乗り出す考えです。

「儘に」店主・白沢岳士さん:
「ちょっとだけでも価値観を広げたい、自由でもいいんだみたいな。息切れしない程度にレベルの高いものを続けていくというのがテーマかなと思います」