「300年先へ...」 栄村小滝集落の歩み 危機感から芽生えた希望 3.12 県北部地震10年(後編)

「300年先へ...」 栄村小滝集落の歩み 危機感から芽生えた希望 3.12 県北部地震10年(後編)
【前編から】

正幸さんたちの活動に力を与えたのは新たに加わった若い世代です。

島崎佳美さん:
「300年先へ、という計画に自分も一員として加わりたい」

小滝の小学生以下の子どもは震災当時、1人でしたが移住やUターンにより今は7人もいます。

役場職員の佳美さんは別の集落に暮らしていましたが、3年前、小滝の実家に移り、3人の子を育てています。

島崎佳美さん:
「外でのびのびと遊んで、自然の移ろいと共に子どもたちはその時しかできない体験をしてる」

移住してきた家族もいます。吉田理史さん・咲さん夫婦です。

自然体験イベントなどを企画してきた理史さんが小滝集落に惹かれ、2014年、結婚を機に移り住みました。

吉田理史さん・咲さん夫婦:
「長男の晴大4歳と1歳の采です」

移住後に2人の子供が生まれました。長男・晴大くんはダウン症です。

集落の温かい見守りに助けられていると言います。

吉田理史さん:
「『みんなで育てるよ』なんて言っていただけて、小滝のファミリー感というか。うちの子だけじゃなくて、みんなで育てているのがうれしい」

妻・咲さん:
「大きくなったね、よく歩けるようになったねとか、すごく温かく見守ってくださって。すぐそばで見てくれていると実感しますね」

正幸さんの家にも長男の祐介さん家族が戻りました。

復興を後押ししたいと村に戻り保健師となった祐介さん。仕事柄、村の高齢化を見つめてきただけに不安もありました。高齢化が進み住民が減れば、その分、集落での役割・負担は増し、維持が難しくなると考えていました。

正幸さんの長男・祐介さん(2014年取材):
「どうしても現実を見ちゃうと、難しい現状もあるのかと思いながらあがいてるっていうか...あがきたいですね」

その不安をぬぐうように祐介さんは同世代の仲間と積極的に集落の活動に参加してきました。

去年6月の「古道歩き」。コロナの影響で、初めて住民だけで実施しました。

その時、撮った1枚の写真があります。

正幸さんの長男・祐介さん:
「みんなで笑顔で写真が撮れたりしたっていうのが自分の中では大きくて。本当にこの地域ならではなのかなと。当たり前のようにみんなが笑いあっているというあの時間は、よかった、ということしかない」

祐介さんの不安が少し和らいだ瞬間でした。

正幸さんは小滝の歩みを伝える活動にも取り組んでいます。

樋口正幸さん:
「10年前、どん底で顔を上げられなかった人たちがこんなになるだろうか。私はこの写真が大好き。(集落が)今でもしっかり歩み続けています、というのを見ていただくのが我々ができる恩返しかなと」

地震をきっかけに集落を見つめ直し、前に進んできた小滝集落。

ただ、目標は「300年先」。取り組みは始まったばかりです。

樋口正幸さん:
「逃げ出すのは簡単だったかもしれないけど、みんなで取り組んできたことが小滝の人のみならず、いろんな人が応援してくれる取り組みの中で手が届くと思う。300年先に必ずここは残っていくって思う」