【特集】山あいめぐる『移動ラーメン店』 お年寄りのニーズに... コロナの影響で注文増

【特集】山あいめぐる『移動ラーメン店』 お年寄りのニーズに... コロナの影響で注文増
特集は、山あいをめぐる移動ラーメン店です。主に長野県東信地域で運行され中山間地に住む高齢者などに根強い人気がありましたが、最近は新型コロナの影響で外出を控える人が増え、ニーズが高まっています。

山あいを走るキッチンカー。広さおよそ1.5畳のキッチンで麺がゆでられ、出来たてのラーメンが提供されます。

子ども:
「めっちゃ、おいしい」

父親:
「おいしいですね、いつもの味です」

移動ラーメン店「とんちんかん」。キッチンカーの製造も手掛ける上田市の会社がフランチャイズ方式で運営していて現在、上田2台、岡谷、伊那1台ずつが走っています。

めぐっているのは、主に山あいの集落です。出前感覚で1人暮らしのお年寄りの家も訪れます。

94歳:
「ラーメン、好きだから。だけどしばらく食べられないんだ。(運転)ができないから。これはありがたいね、あったかいの食べられる」

移動ラーメン店を運営・松井幸雄会長:
「街から外れた中山間地におじいちゃんおばあちゃん、子どもがたくさんいる。そういうところに行けばラーメンが食べられるだろう、買ってもらえるだろうっていうのが始まり」

「とんちかん」の創業者・松井会長は上田市の出身。東京のホテルで修業した後、1978年、28歳の時に長野でフレンチのレストランを開きます。しかし、その4年後、大きな事故に遭い転機を迎えます。

移動ラーメン店を運営・松井幸雄会長:
「大きな事故だったので、立って仕事ができなくなった。店を手放して次何やろうかなって考えたときに、たまたまあるテレビ番組を見た。ビーチバレーの大会でケータリングの車があった。そこにホットドッグの絵が描いてあった。これがいいなって。(移動販売は)腰かけて仕事できるんで」

テレビで見たケータリングの車をヒントに1987年、松井会長はラーメンの移動販売を始めます。

移動ラーメン店を運営・松井幸雄会長:
「(ラーメンは)万人受けする、誰にでも食べてもらえる。行った先々で調理して提供するスタイルが一番いいんじゃないかと思い、始めた」

わざわざ出かけていかなくても、気軽にラーメンが食べられるということで人気が上昇。山あいをめぐるという戦略も当たり移動販売車は一時、31台に増えましたが、2008年のリーマンショック以降、次第に売り上げが落ち台数も減少していきました。

現在は軽トラックを改良した移動販売車を開発し、コストダウンを図って運行されています。

提供しているラーメンは、しょうゆ味の中華そばやみそラーメンなど4種類。最近は豚骨醤油味がよく売れるそうです。いずれも長崎県産の「焼きあごだし」を使っています。

創業当初から変わらぬ味という中華そばを試食しました。

(記者リポート)
「出来立てのラーメンいただきます。焼きあごだしの魚介の風味とこの醤油の素朴さがマッチしてて、すごくおいしいです」

オーナーの1人・君波彰吾さんは今年2月から上田市周辺を周っています。移動ラーメン店を始めようと思ったきっかけは去年の台風災害です。

君波彰吾さん:
「去年の台風で被災した地域を見て、とんちんかんで移動でできるなら、いろんなところを回れるかなと思って。お年寄り、免許返納された方がいて、ありがたいと言われるので需要はあるなと」

子ども:
「みそラーメンください」
「しょうゆラーメンください」

子ども:
「うん、おいしい!麺がモチモチして」

父親:
「ありがたい。ご時世がコロナというのもありますし、こうやって身近に来てもらっておいしいものが食べられることはすごくいい」

山あいに暮らすお年寄りなどのニーズに加え、この春以降は新型コロナの影響で問い合わせや注文が増えていると言います。

移動ラーメン店を運営・松井幸雄会長:
「今までの2倍、3倍、4倍の問い合わせが増えている。外出ができない自粛期間が長かった。子どもたちも我慢できない。お母さんも料理するのもご飯用意するのも疲れてきているから、うちのこのスタイルが受けた」

常連客は...。

常連客:
「最近はコロナで自粛しているから、あんまり外には食べに行けないので二週間に一遍ラーメンの日って決めて、来てもらうのが一番うれしい」

山あいをめぐり玄関先まで来てくれる移動ラーメン店。新型コロナの影響でその「強み」が発揮されています。

移動ラーメン店を運営・松井幸雄会長:
「待っててくれる、お客さんが。そこらへんがいい仕事かな。これからコロナが終息するまで、した後もかなり生活様式やらいろんな意味で変わるんじゃないかな。できれば県内全域にまた広げていきたい」