
都市部より一層早いスピードで高齢化が進む農村地域で、高齢者医療の果たす役割が、これまでにも増して大きくなっている中、高齢の患者の立場にたった医療、本人や家族の望む在宅での暮らしの支援や看取り、医療・介護の連携など、地域高齢者医療の直面する課題に正面から取り組みながら、その現実に、実践的な立場で、積極的な提言を続けている一人の医師がいる。JA長野厚生連佐久総合病院からの派遣医師として、南佐久郡川上村で診療所長を務める長純一さん(ちょうじゅんいち)さんだ。
3月9日のNBS月曜スペシャルは、「母なる農村とともに~長純一医師と厚生連病院の理想」と題し、「農民とともに」を合い言葉に、農村の健康を守り続けてきた佐久総合病院の理念を、現代に継承していこうとする長さんの取り組みと、献身的な実践を支える思いを紹介する。
1966年、東京に生まれ、関西で育った長さんは、早くから現代の都市のひずみを感じ、農村を守りたいと考えていた。1993年、信州大学医学部卒業と同時に佐久総合病院に勤務。南佐久地域に暮らす農民の健康作りに大きな役割を果たすとともに、日本のみならず、世界の医療の恵まれない地域に影響を与えた、当時の院長、故若月俊一さんの思想と実践に共感し、身近で学びたいと思ったことが佐久病院を選んだ動機だった。様々な研修を積み、診療所長として川上村に赴任したのは、1999年。3年間の佐久病院勤務期間を除き、7年に亘り、川上村の医療を担い続けてきた。
長さんが特に力を入れているのは、在宅医療だ。毎日午後には訪問診察に出かけ、高齢の患者一人一人の健康状態を見守る。訪問看護や病院、地域の特別養護老人ホーム、ケアスタッフと連携を取りながら、最期まで、地域・家庭での暮らしを継続させようとしてきた実践の中で、川上村の在宅での看取り率は、1割強の全国平均を大きく上回り、3割を超えるまでになった。
こうした長さんの実践とそれに基づく提言は、全国的にも少しずつ注目を集めるようになっている。2月26日には、高齢者医療のモデル作りと政策提言を担う国立長寿医療センター(愛知県大府市)で講演し、在宅ケア支援に病院が果たす役割について訴えた。
かつて、若月院長を中心に、佐久総合病院が切り開いてきた農村医療の取り組みは、貧困にあえぐ農民の健康作りが目的だったが、現在は、人が人らしく生き、死ぬ場所としての豊かな農村を守る事へと変わりつつある。長さんは「目的や役割が変わっても母なる農村を守り続けるという実践に変わりはない。都市部より高齢化の早い農村こそ、これからの医療の最先端地域だ」と語る。
番組では、長さんの活動と思いを通して、佐久総合病院を中心に厚生連病院の果たしてきた役割を辿り、地域医療のこれからを考える。
3月9日(月)夜7:00~7:54放送
